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» 2017年06月16日 07時00分 UPDATE

サーバ保守部隊は生まれ変われるか? PoC内製化を目指す旭硝子の挑戦 (1/2)

われわれはバージョンアップ部隊ではなく、業務改革の担い手だ」――。そんな思いから、2015年にAWSへの移行に踏み切ったAGC旭硝子。サーバの保守運用から解放された同社の情シスはどうしているのか。

[タンクフル,ITmedia]
Photo AGC旭硝子 情報システム部の浅沼勉氏

 「われわれはバージョンアップ部隊ではなく、業務改革の担い手だ」――。そんな思いから、2015年にAWSへの移行に踏み切ったAGC旭硝子。現在では、基幹系376を含む450を超えるインスタンスがAWS上で稼働中だという。

 AWSの導入前には大規模なデータセンターを核にビジネス基盤を構築してきた同社。AWSの導入によって、何がどのように変化したのか。AWS Summitに登壇したAGC旭硝子 情報システム部の浅沼勉氏が語った。

2年間、止まることなくAWSへの移行を継続

 浅沼氏は2年前のAWS SUMMIT 2015でも「メインフレームからクラウドへ」というテーマでAWSに関する同社の取り組みを紹介している。今回、同氏が語ったのは、“その後”の話だ。

 AGC旭硝子がAWSの採用を決めたのは、2014年の8月。実際のサービスでは、2015年6月にIRMソリューション、2016年1月にSAPの利用をAWS上で開始している。結果、AWS導入当初には78だったインスタンスが、現在では基幹系376、基幹系外76の合計452にまで増えている。浅沼氏によればAWSのインスタンスは、「2日に1台くらいのペースで増えている」という。同社では、今後もAWSの利用を推進していく計画だ。

 基幹系をAWSに移行することで、同社ではオンプレ運用時に比べて約3割コストが下がったという。しかも、これにはデータセンターの費用と運用削減費用が含まれていないため、実際のコスト削減効果はそれ以上になる。

 しかしながら、同社がAWSの導入に踏み切ったのは、コストダウンが第1の目的ではない。同社が目指したのは、“デジタル化による社内文化の刷新”だ。基幹システムを含む社内システムをAWSに移行することで業務のスピードが上がり、社内改善のアイデアを効率的に実現化するためのシステム導入も可能になるという。

Photo 部屋いっぱいのサーバは激減

AWS利用にまつわる3つのテーマと「ALCHEMY」

 AGC旭硝子では、AWSの利用に際して「標準化」「DC戦略」「クラウド×情シス」という3つのテーマを軸にシステムの構築・運用がなされている。

 同社では、基幹系で376インスタンスがAWSで起動し、62のシステムが稼働している。特徴的なのは、これらで使われるソフトウェアやソリューション、開発・保守を行うベンダーなどが統一されておらずバラバラなことだ。それでも、同社のサービスは次々とオンプレミスからAWSに移行できた。そのカギは「標準化」。同社では、この運用法を実現するために「超基幹特化型標準化」というシステムデザインのイメージを考案した。

 前職がSIerである浅沼氏の印象では、ベンダーの中にもAWSを完璧に理解している人はまれだという。また、「文書によるガイドラインは拘束力が不十分で、さらにテクノロジーが進化するスピードをフォローするには向かないと感じていた」と振り返る。そこで同社では「ALCHEMY(アルケミィ)」と呼ぶ仮想的なサービスを創造し、これを介してAWSのサービスをユーザーに提供することにした。

 ALCHEMYは、“AGC旭硝子の社内向けプライベートクラウド”と考えると理解しやすい。新しいサーバが必要な時、一般のユーザーはインフラの担当者に申請を出す。すると、ALCHEMY上にセキュリティ設定済みの仮想サーバが与えられることになる。ガイドライン文書ではなくALCHEMYという標準的なサービスの“型”を作り、AWSのサービスは必ずALCHEMYを通す。こうすることで、セキュリティをはじめ、ガイドライン文書をはるかに超えるコントロール性と堅牢(けんろう)性を実現している。

 「基幹システムをAWSに載せることを最初から決めていたので、セキュリティが重要です。ガチガチにしたい」(浅沼氏)

 ALCHEMYを介した同社のシステムでは、サーバの作成はもちろん、セキュリティの設定やAWSコンソールの操作も一般のユーザーにはできない。一部は申請によって操作可能になるものもあるが、基本的に利用可能なサービスはかなり絞り込んでいる。そのため、高いセキュリティを実現できているのだ。

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