富士通、九州大学RIIT向け新スパコンを受注、理論演算性能10 PFLOPSを実現

総理論演算性能約10 PFLOPSを有し、国内のスパコンとしては初となるクラウド連携の仕組みも導入する。

» 2017年06月22日 11時00分 公開
[金澤雅子ITmedia]

 富士通は6月15日、九州大学の情報基盤研究開発センター(RIIT)のスーパーコンピュータシステムを受注したと発表した。2017年10月から順次、稼働する。

 同センターは、全国の大学教員、大学院学生、研究者などが学術研究のために利用する全国共同利用施設。現在、スーパーコンピュータシステム、高性能演算サーバシステム、高性能アプリケーションサーバシステムの3つのシステムを運用している。

 今回、3つのシステムを新たなスーパーコンピュータシステムとして統合し、従来の大規模計算・科学技術シミュレーションだけでなく、AI、ビッグデータ、データサイエンスなどの活用・研究に必要となる超大規模計算といった、より幅広いニーズに対応できる環境を整備する。

 新スパコンは、富士通のサーバ「FUJITSU Server PRIMERGY CX400」の次期モデルなど、2000台以上のサーバで構成。総理論演算性能は約10 PFLOPS(ペタフロップス)を実現し、国内トップクラスの性能となる見込みだという。

 バックエンドサブシステムの計算ノードは、Intelの「Xeon Processor Scalable Family(開発コード名:Skylake)」を搭載した「PRIMERGY CX400」の次期モデル2128台で構成。このうち128台は、NVIDIAのGPU「Tesla P100」を1台あたり4基(合計512基/GPU間はNVIDIA NVLinkで接続)搭載する。

 フロントエンドサブシステムは、Xeon Processor Scalable Familyとグラフィックスカード「Quadro P4000」を搭載した基本フロントエンドノードを160台と、1台あたり12TBのメモリを有する大容量フロントエンドノード4台などで構成。ストレージサブシステムには、実効容量が24PB(ペタバイト)を超えるディスクアレイ装置を導入する。

 インターコネクトは「EDR InfiniBand」を採用。サーバ群を高速に相互接続し、高い並列演算性能と可用性を実現する。ファイルシステムは、10万ノード規模で共有できる高性能分散ファイルシステムである富士通「FEFS」で構築する。

 フロントエンドサブシステムには、大規模プライベートクラウド環境を構築し、高速ファイルシステムを介して、バックエンドサブシステムの計算サーバと連携運用することで、本格的なクラウド連携の仕組みを導入するという。

 また、詳細な電力モニタリング機構も搭載し、使用電力を監視するシステムを導入。HPCミドルウェア「FUJITSU Software Technical Computing Suite」を利用して、システムの利用者ごとに最大消費電力を制限する機能なども実現し、省電力を意識した柔軟な電力制御を実装するとしている。

Photo 新スーパーコンピュータのシステム構成図(出典:九州大学 情報基盤研究開発センター 新スーパーコンピュータシステムについて

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