初代「iPhone」が発表されたのは2007年です。発表時の製品紹介は、「Phone+iPod+Internet」でした。当時、既に世界を席巻していた携帯音楽プレーヤー「iPod」に電話機能とデータ通信機能を統合したということです。
考えてみればシンプルなコンセプトですが、初期の携帯型デバイスやスマートフォンが失敗していた欧米に与えたインパクトは大きく、現在のiPhoneの状況を見れば、それは明らかです。
ただし、日本だけは状況が違っていました。2007年当時、日本のガラケーは、既に携帯電話に音楽プレーヤーを内蔵し、インターネットへの接続もできていたのです。日本でのiPhoneの発売は2008年ですが、当時「テレビを見ることもできず、お財布ケータイも使えないiPhoneなど、誰も使わないだろう」とまでいわれていました。いまや結果はご存じの通りですが、最初は出荷が伸びず、苦労したようです。
世界的に見て、iPhoneが成功したのは、通信インフラの充実など、1990年代とは技術的な背景が大きく違ったためと、AppleがUXに徹底的にこだわったためといえるでしょう。
Appleは創業以来、UX重視の姿勢を貫いており、iPodや音楽データを管理する「iTunes」の使い勝手の良さは既に広く受け入れられていました。PC操作に不慣れなユーザーでも簡単に操作できる環境が整っていたのです。また、携帯電話網の高速化により、音楽やアプリのダウンロード、あるいはソーシャルメディアへの写真投稿などが素早く、快適にできるようになっていたことも成功の要因といえるでしょう。
iPhone発売の翌年、GoogleからAndroidを搭載したスマートフォンが市場に投入されました。iPhoneとAndroidは、それまでの携帯型デバイス、携帯電話の概念を塗り替え、市場に受け入れられました。続いてAppleは2010年に「iPad」を発表し、新たな時代を切り開いたのです。
日本IBMで営業として大手電気・電子製造業の顧客を担当。1995年に日本IBMを退職し、次代のITビジネス開発と人材育成を支援するネットコマースを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。詳しいプロフィールはこちら。最新テクノロジーやビジネスの動向をまとめたプレゼンテーションデータをロイヤルティーフリーで提供する「ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA」はこちら。
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