国内金融分野のFinTech拡大を予測、エコシステム構築が成長の要――IDC予測

IDC Japanが、金融分野における第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ・アナリティクス、ソーシャル技術)市場の成長予測を発表した。

» 2017年08月09日 16時00分 公開
[金澤雅子ITmedia]

 「第3のプラットフォーム」とは、IDCが提唱する、ICTを支えるモバイル、ソーシャル、ビッグデータ、クラウドの4要素で構成される新しい情報基盤のこと。第1のプラットフォームはメインフレームと端末、第2のプラットフォームはクライアント、サーバシステムを指す。

 調査結果によると、2017年の国内第3のプラットフォーム市場で金融分野のIT支出規模は、9286億円、前年比成長率は6.9%になると予測している。銀行、保険、証券、その他金融サービスの各分野で堅調に拡大が見込まれ、特に保険業では、ビッグデータ分析を中心に積極的な投資が進むという。

 ソリューションでは、現在モバイル関連支出が主にけん引しているが、今後は大手金融機関で取り組みが加速しているクラウド、ビッグデータ分析関連の支出が徐々に拡大すると同社は分析する。

 国内金融機関では、第3のプラットフォームと同様に、FinTech(Financial Technology:ITを活用した新しい金融関連サービス)ソリューションの提供のため、スタートアップ企業と連携したり、自社開発したりする金融機関が増加。現時点では、検証段階にとどまっている金融機関が多いものの、2017年以降、本格的にFinTechソリューションを提供するケースが増えると予測する。

 また、金融機関にとどまらず、スタートアップ企業や他の産業分野を含む「FinTechエコシステム」が構築され、多くの企業の業務やシステムに効果が波及すると同社はみている。

 他産業分野の企業システムへの波及効果を含めた「FinTechエコシステム」の分析では、関連IT支出額は2017年に196億円、2021年には1179億円に拡大する見込み。2018年までは金融機関のFinTech関連投資が全体をけん引するが、2019年以降は、国内金融機関の関連システム(勘定系システム、顧客管理システムなど)の投資に並び、他の産業分野の企業におけるFinTech関連投資など、関連分野の投資が優勢になる見通し。

 ITサプライヤーは、金融機関を中心としたFinTechエコシステムの構築に向けて積極的に支援することが、今後の金融機関向けビジネス拡大に向けた焦点になると分析している。

Photo 国内「FinTechエコシステム」関連IT市場 セグメント別支出額予測、2016年〜2021年

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