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» 2017年08月11日 10時00分 UPDATE

Mostly Harmless:5分で分かる、MSが提唱するインテリジェントな「クラウド」と「エッジ」の真価

Microsoftが提唱する「インテリジェントクラウド」と「インテリジェントエッジ」について、コンピューティングの進化を踏まえつつ、用途や可能性を考察します。

[大越章司,ITmedia]

この記事は大越章司氏のブログ「Mostly Harmless」より転載、編集しています。


 先週、Microsoftに関する記事で目を引くものがありました。「インテリジェントクラウド」と「インテリジェントエッジ」についてです。Microsoftが5月に「Microsoft Build 2017」で発表した内容のようです。

集中→分散の歴史を繰り返すコンピューティング環境

 クラウドとは、集中化されたコンピューティング環境です。

 コンピュータの歴史をひもとくと、最初はIBMをはじめとした大型機を複数のユーザーが共有して使うスタイルでした。それがコンピュータの小型化によって分散処理に移行し、PCが出現してクライアントサーバとなり、分散化が進んだという経緯があります。しかし、コンピュータの数が多くなりすぎて管理が大変になってTCOも増大し、そのソリューションとしてクラウドによる再集約化に至った――とみることができます。

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 クラウドでは、コンピューティング資源をクラウドに集中させ、クライアントの負荷を下げることで、モバイルデバイスのようなリソースに制限のあるデバイスでも、これまでは不可能だった高度な処理を行えるようになったのです。

 しかし、先の記事にもあるようにビッグデータの世界になると、全てのデータをクラウドに集約するのは通信回線の容量やレスポンスタイムの観点からも不可能になってきます。そして、クライアント(エッジ)でできることはクライアントで対応しよう、という動きが出てきました。これがエッジコンピューティングやフォグコンピューティングです。

 MicrosoftのナデラCEOが「データには引力がある」と言ったのは、「データは発生したところか、その近くで処理するのが最も望ましい」という意味なのではないでしょうか。

 Microsoftは現在、クラウドとエッジの2極構造に向かっているパラダイムをさらに進め(というか、まだエッジコンピューティングにもなりきっていないですが)、クラウドもエッジも一体化した形にシフトするという意味で「インテリジェントクラウド、インテリジェントエッジ」と名付けたのだと思います。そして、最も注目すべきは、その中心にサーバレスを掲げたことです。

サーバレスとは

 サーバレスコンピューティングは、ここ数年出てきた言葉で、その名の通り“サーバを立ち上げずにプログラムを実行できるクラウド利用の方法”です。

 IaaSなどでは、従量制といいながらもサーバを契約してセットアップを行い、使うときにはそれを起動しなければなりませんでした。

 サーバレスは、その手間も費用も省き、自分が開発したプログラムを登録しておくことで、何らかのイベントをトリガーとして起動させます。処理が終わると、プログラムの実行環境は消え去ります。純粋にデータ処理にかかった時間分だけが課金されるためコストが安く、維持費もかからず、大量の処理が発生しても自動でスケールできるため、IoTなどでの活用が期待されています。サービスとしては「Amazon Lambda」「Azure Functions」「Google Cloud Functions」などがあり、技術的には(少なくともLambdaは)コンテナを使っているようです。

 PaaSやSaaSの機能を組み合わせて使うAPIベースのマッシュアップに似ており、この辺の定義や違いについてはまだ曖昧な点もあります。私の理解としては、マッシュアップは用意されたソフトウェア全体やソフトウェアの一部機能などの比較的大きな機能ブロックを組み合わせるイメージで、サーバレスは自分で書いたもう少し粒度の細かいプログラム(Lambdaでは関数と呼んでいます)を動かすということかと思います。

状況を検知して最適な環境でプログラムを実行

 ここからは先の記事を読んだ私の“妄想”です。

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 コンテナで動く「関数」は、どこで動かしても構いません。であれば、その時々の回線状況、デバイスの処理能力などに応じて、最適な場所で処理を行うといった使い方が可能になります。回線が混んでいるが、自分には処理能力がないといった場合には、近隣に助けてくれるデバイスがないか探すといったことも可能になるでしょう。

 エッジ側の複数のデバイス間で処理を分散させることも、使い方によっては有効かもしれません。状況に応じて、エッジ側でクラウドを構築してしまうというイメージ。いわば“ローカルクラウド”です。ただそれも、新しい形として固定したものではなく、最適な処理形態を目指す一過性のもので、全体としては、「クラウドとエッジが一体化されたもの」として運用されるという世界なのではないかと思います。

 もう1つの視点として、先の記事にもありましたが、これは新しいハイブリッドの形と捉えることもできます。Azureが目指したハイブリッドを、IoTの世界にも広げていこうという戦略。それが、インテリジェントクラウド、インテリジェントエッジなのかもしれません。

著者プロフィール:大越章司

外資系ソフトウェア/ハードウェアベンダーでマーケティングを経験。現在はIT企業向けのマーケティングコンサルタント。詳しいプロフィールはこちら


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