プレゼン好きの「小学生」がITに出会い、エバンジェリストになるまで

さまざまなITベンダーから登場している「エバンジェリスト」という職種。彼らがその道を選んだ理由はさまざまだが、幼少期に芽生えた「プレゼンが好き」という思いを貫き、エバンジェリストになった人がHPEにいるという。

» 2017年08月21日 10時00分 公開
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 「エバンジェリスト」。

 キリスト教における“福音を伝道する人”が語源の言葉だが、今日のIT業界では、『高度化、複雑化が進むITを分かりやすく解説し、市場やコミュニティーから支持される人』を指すことが多い。

 最近では、さまざまなITベンダーからエバンジェリストが登場しているが、彼らはなぜエバンジェリストになろうと思ったのだろうか。その理由は人それぞれだが、「発表が好き」というのが高じてエバンジェリストになった人がいる。日本ヒューレット・パッカードで認証エバンジェリストとして活動する、山田晃嗣さんだ。

プレゼンの楽しさに目覚めた「小学生」

photo 日本ヒューレット・パッカード 認証エバンジェリスト 山田晃嗣さん

 山田さんが「発表」に目覚めたのは小学生のころ。イベントで前に出て話したところ、自身でも「信じられないくらい」周りの人から褒められたことがきっかけだ。

 「最初はなぜ褒められているのかよく分かりませんでした。自分としては普通にやっているだけのはずだったので(笑)。褒められる快感にハマったのか、それ以来、人前に出て話すのが好きになりましたね」(山田さん)

 とはいえ、学校では人前で話す機会は大してなく、本格的に人前で話すようになったのは就職してから。当時はOHPを使っていたとのことだが、研修でプレゼンテーションのスキルはみっちりたたき込まれたという。

 その後、転職した富士通でプリセールスの仕事をやるようになり、クライアント先での製品説明が「周りの人よりも楽しくできる」ということに気が付いた。セミナーで大勢の前で話す機会も与えられ、それもまた成功して褒められることになる。

 「当時、私は製造業から転職してきたばかりで、IT業界では完全に“新参者”だったんです。テクノロジーに関しては初心者もいいところで、分かっていないところも多々ありました。それが逆に良かったのだと思います。自分が疑問に思っていたり、分からなかったことを、そのまま説明するという形式をとりました。周りの人が話していたものよりも、ずっと簡単な内容だったのかもしれませんが、技術を分かっていない人の視線でプレゼンを作ることができたように思います」(山田さん)

 とことん技術を追求するよりは、分かっていない大勢の人たちに向けて、技術を分かりやすく伝えることが性に合っている、ひたすら機械に向かっているよりも、人前で話しているときが楽しい――そんな感覚を山田さんはつかんだのだという。

「何これ、めちゃくちゃ早い!」――シトリックスの画面転送技術との出会い

 その後、セミナーなどの縁でシトリックスに転職。仕事は完全にプリセールス1本になった。富士通時代に出会った画面転送の製品に感動したことが、プリセールスのモチベーションを大きく高めたという。

 「かれこれ20年前くらいの話ですが、初めて画面転送の製品を触ったときに『めちゃくちゃ早く動くじゃん!』と驚きました。いまだにその時の感覚は強く覚えているんです。どうしても画面を転送するとなると、ネットワークのトラフィックを使うため、動作が重たくなるイメージを持っていたのですが、全く違った。触った自分は分かるんですが、世の中一般の認識は違います。その誤解を払拭したいと強く思いました」(山田さん)

 製品を理解するとともに、徐々に画面転送が何に使えるか、どんな風に役に立つかも分かってきた。その後は、それをどのように伝えるかを試行錯誤する日々が続いた。

 あるときはプレゼン内に使う文字を極力減らしてみたり、タブレットを使ったプレゼンにチャレンジしたりとその試みはさまざまだ。「当時としては、先進的な試みだったと思います。自分が飽き性というのもあるんですけども」と山田さんは笑う。

photo タブレットでプレゼンを行うなど、さまざまな方法を試したという

 小学生に向けてシトリックスの製品を説明したこともあった。ファミリーデー(社員が会社に家族を連れてくるイベント)でやってきた小学生に向けて、両親がどのような仕事をしているか理解してもらうためだ。相手が小学生であるため、スライドに漢字を使うことすらできない。どのように説明したのだろうか。

 「テクノロジーを説明してもしょうがないので、シトリックスがあると何がうれしいのかということだけを話しました。彼らの両親が、毎日会社へ仕事に行っていることは理解しているはず。自宅でも安心して仕事ができることで、親がもっと家にいられるようになるとか、そんな話をしました。

 でも、“この製品があると何がうれしいのか”という視点ってよく忘れられるんです。それは相手も理解してくれているという前提で、自分たちがいかにその技術を実装したかを話してしまう。それでは相手の心に響きません」(山田さん)

世の中にはびこる「ダメなプレゼン」とは?

 そんな山田さんが、VDI製品の紹介を通じて、興味を持ったのが「働き方改革」だ。最近では政府が推進しているが、働き方改革を通じて、日本にいい影響を与えられたらと考えている。「ビジョナリー・カンパニー」という本に出会ったことがきっかけだ。

 「われわれベンダーが“働き方改革”と言うと、製品を売るためのロジックに聞こえてしまう点もあるかと思いますが、少なくともそれを話している自分は、社会の役に立つと信じてやることが大事だと思っています。単に『コスト削減ができます、もうかります』と言っているよりも、社会にとって正しいことである方が人の心に刺さりやすいですし、自分もモチベーション高く、気持ちよく仕事ができると思うんですよ」(山田さん)

 一方で、自分が推す製品の価値を信じていなかったり、目的が定まらないままに話してしまえば「ダメなプレゼン」になってしまう。仕事をする中で、そういったダメプレゼンに出会う機会が多いと山田さんは話す。

 「セミナーなどで、会社として話さなければならないトピックを話すだけというプレゼンもよく見かけます。まずは自分の気持ちを自分の言葉で語る、ということをするだけでも印象は大きく変わるように思います。本当に広めたいと思っていることが心にあれば、多少話が下手だとしても必ず伝わると思うんです。その上で、聞く人の気持ちを考えることが重要ですが、これはなかなか難しいポイントで、毎回知恵を絞っているところですね」(山田さん)

地味だけど光る「IceWall」を多くの人に知ってもらいたい

 その後、山田さんはシトリックスを辞め、日本ヒューレット・パッカードに移った。今は、シングルサインオンや統合認証基盤の製品である「IceWall」を紹介するのが主な仕事だ。このソフトウェアが“純国産”であることに魅力を感じたと山田さんは言う。

 「今までは外国の製品を日本で売ることを一生懸命やっていました。今度は逆に、国産のソフトウェアを海外の企業に知ってもらうわけです。この点はとてもワクワクしています。前職で扱っていた製品と比べれば、IceWallは素材として光る点も多いですが、はっきり言って地味だと思います。しかし、それをどのように魅力的に見せるか。ここはしゃべりの“プロ”として、腕の見せ所だと思っています」(山田さん)

 山田さんがモチベーションを感じている点はこれだけではない。世の中の多くの人が「シングルサインオン」について誤解しているという現状だ。その誤解を解くのも、今の自分の使命だと考えている。

 「極端な話かもしれませんが、シングルサインオンを導入すると、セキュリティが弱くなると誤解している人がいまだに多いのです。『パスワードが1個になったら危ないじゃないか』『パスワードはたくさんあった方が安全だ』――。これって誤解なんですよ。直感的に思ってしまいがちなことを、いかに覆すかというのは、自分で言うのもなんですが相当やりがいのある仕事です(笑)」(山田さん)

 Webアプリやクラウドサービスなど、さまざまな認証が必要とされる昨今、各サービスのセキュリティを担保する労力は増え続けており、セキュリティを強化しようと思っても、各サービスの認証に依存してしまう。一方で、シングルサインオンを使えば、1つの認証を強化するだけで、全体の認証強度を高めることができる。さらに多要素認証を絡めれば万全だと、山田さんは太鼓判を押す。

photo エンタープライズITにおいて、認証に求められるセキュリティは変わってきているという
photo シングルサインオンを使えば、1つの認証を強化するだけで、全体の認証強度を高めることができると山田さん

 実は、山田さんはシトリックス時代にもシングルサインオンの製品を宣伝していたことがあった。製品自体がなくなってしまい、伝えきれなかったメッセージをもう一度――。山田さんにとって、IceWallはある意味“リベンジ”ともいえる。シングルサインオン製品として、国内ではトップクラスのシェアを誇るIceWallだが、まだまだ「パイを広げられる可能性はある」という。

 「トップシェアと言っても、あくまでシングルサインオンが必要だと思っている方々の中での話。現状では必要ないと思っているお客さまにも、潜在的な需要は必ずある。まだまだパイは広がる、というか広げなくてはならないと思っています。自社の認証について、疑問に思っていることがあったら、ぜひ聞きに来てください。こうして、いろいろな人とお話ししているときが、仕事をしている中で一番楽しいんですよ」(山田さん)

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