「デジタルビジネスの進展に伴って注目度が高まっているAPIの活用だが、企業にとってのユースケースは2つのパターンがある」―― 佐藤氏がこう話す2つのパターンとは、「社内API開発基盤」、そして「社外API連携基盤」である。
社内API開発基盤が求められるのは、迅速かつ効率的なクラウドベースのアプリケーション開発を加速させるためだ。また、APIを開発に活用することで、フロントエンドとバックエンドのライフサイクルの違いを吸収し、効率的な開発を実現したいというニーズも高いという。
一方、社外API連携基盤が求められるのは、デジタルへの対応やエコシステムの構築など、新たなシステム間連携のニーズを満たすためだ。自社に閉じず、パートナーや開発者などネットワークドメインをまたいだシステム連携をWeb APIによって実現したいとのニーズが高まっているという(図3)。
ちなみに、オラクルではこうした両方の顧客ニーズに対応して、図4のようなAPIベースのシステムアーキテクチャを提案しているという。
今回、API管理サービスの提供を始めた日本オラクルだが、日本市場における企業のAPI活用の用途についてはどのように見ているのか。佐藤氏が業種別に次のような見方を示した。
「最近話題になりがちなところでは、金融分野におけるFinTechやバンキングAPIへの対応があるが、サービス分野ではデジタルを活用した新規事業が続々と立ち上がっており、通信・公益分野ではサービスプラットフォームの構築、公共分野ではオープンデータの活用が進みつつあり、製造業でもグローバル連携やサービスへの事業転換に向けた動きが活発化してきている」
こう聞くと、APIの活用は業種を問わず、大きなインパクトがあることが分かる。そこでITベンダーに訴求しておきたいのは、API活用の話を「ユーザー企業に対して、IT部門だけでなくマネジメント層やビジネスパーソンにも分かるように説明する努力を続けてほしい」ということである。
なぜか。佐藤氏が先に述べた「企業がAPIを活用する4つの目的」は、マネジメント層やビジネスパーソンがその意味を理解しないと実現できないと考えるからだ。デジタル時代に向けてAPIがビジネスに直結することを、IT業界を挙げてしっかりと発信していきたいものである。
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