日本のCEO、悲観的だが対応は後手――KPMGがグローバルCEO調査(1/2 ページ)

KPMGコンサルティングが、世界各国のCEOを対象した「KPMGグローバルCEO調査2017」の日本語版報告書を発表。世界と日本との調査結果の違いから見えてくる「日本のCEOの特徴」とは?

» 2017年09月15日 07時00分 公開
[西坂真人ITmedia]

 KPMGコンサルティングは2017年9月13日、世界各国のCEOを対象した調査「KPMGグローバルCEO調査2017」の日本語版報告書を発表。同日に行われた報道関係者向けの説明会では、同年7月1日付けで同社の社長 兼 COOに就任した宮原正弘氏が、世界と日本との調査結果の違いから見えてくる「日本のCEOの特徴」を語った。

photo 同社社長 兼 COOの宮原正弘氏

 同社によるグローバルCEO調査は2015年から毎年行っているもの。今回は2017年2月21日から同年4月11日の期間で主要10カ国(オーストラリア、中国、フランス、ドイツ、インド、イタリア、日本、スペイン、英国、米国)のCEO 1261人を対象に調査が行われた。そのうち日本企業のCEOは100人。2017年6月に英文で先行リリースされているが、今回の日本語版報告書ではこの日本のCEOの回答と考察を付属資料として掲載している。

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 宮原氏は日本企業のCEOに対する考察を以下の10のポイントで要約した。

  1. 今後の世界経済の成長見通しについては、世界全体に比べて非常に悲観的
  2. 成長にインパクトを与える要因として、レピュテーション/ブランドリスク、地政学的要因、破壊的テクノロジーが上位に
  3. 地政学的要因に対する対応は、世界全体に比べて遅れている
  4. 戦略的優先事項として、既存市場の浸透やバーティカル市場への進出が上位に
  5. 戦略の実現手段としては、M&Aよりもアライアンス重視の姿勢へ
  6. ビジネスモデル変革の必要性に対する認識は、世界に比べて依然強い
  7. 技術イノベーションの業界インパクトに対する日本企業の危機意識が高い一方で、その対応に苦慮している
  8. 顧客データの活用が重視されている一方で、経営判断の基礎となるデータ品質について、大きな懸念
  9. 世相を反映してレピュテーション/ブランドリスクが上位に位置する中、テクノロジーを含むオペレーショナルリスクへの対応重視
  10. 複雑な経営環境の中で、CEOもよりオープンな姿勢へ

 特長的なのは、日本のCEOの楽観度が2016年の調査に比べて減少している点だ。今後3年間における世界経済の成長見通しについて「自信がある」と回答したCEOは全体では65%に対し日本ではわずか21%となり、2016年の93%からマイナス71ポイントの大幅減少となった。

photo 今後3年間の成長見通し(非常に自信がある、または自信がある)の割合

 「日本のCEOは経済成長に悲観的。逆に世界ではこのような環境の変化をオポチュニティ(好機)と捉えている」(宮原氏)

 今後3年間の売上成長率の見通しでも、5%以上の高い成長を予測する日本企業は、2016年の16%から今回は6%にとどまった。成長の源泉となる「人員数」も、11%以上の増加を見込んでいる日本のCEOはわずか3%と、2016年の23%から大きく後退した。これは「世界経済の成長見通しに悲観的な結果と比例している」と宮原氏は分析する。

photo 自社の今後3年間の売上成長率の見通し
photo 今後3年間で自社の辞任数の増加を予定している割合
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