日本のCEO、悲観的だが対応は後手――KPMGがグローバルCEO調査(2/2 ページ)

» 2017年09月15日 07時00分 公開
[西坂真人ITmedia]
前のページへ 1|2       

日本のCEOを悲観的にさせている要因は?

 「自社の成長に最もインパクトを与える要素」の問いでは、日本の3位に「地政学的要因(選挙、社会不安など)」(15%)が挙がっている。2016年は10位(5%)と下位だったことからも、現米国政権や英国のEU離脱、北朝鮮問題といったここ1年での世界の政治情勢や社会不安が、日本のCEOを悲観的にさせている要因であることを示している。

photo 今後3年間で自社の成長に最もインパクトを与える要素(日本のCEOの回答)

 このような地政学的要因のインパクトに対して、日本と世界の取り組みは対照的だ。「地政学的な不確実性の結果、シナリオ・プランニングにより時間をかけている」「現在の不安定な政治情勢は自社にこれにまでにない影響を与えている」といった現状認知、分析の項目に関しては日本は全体を上回っているが、地政学的リスクへの“積極的な取り組み”や“具体的な施策”に関しては、日本企業は世界に比べて消極的なのだ。

 一方で「今後3年間で大きく異なる事業体に変革すると予想する割合」は、グローバル全体では前年の41%から今回は26%と大きく下げているのに対し、日本では今回も42%と前年の48%と同様に高い値を示している。

 「ビジネスモデルの変革に関して、海外は既に対応が進みつつあるということかもしれない。一方で日本企業は対応できていないので、自社の事業体が大きく異なるものに変わっていかないといけないという危機感を持っているのだろう」(宮原氏)

photo 今後3年間で大きく異なる事業体に変革すると予想する割合

 「リスクの認識はあるが、欧米企業に比べると対応は後手に回っている」――日本企業の調査結果を世界と対比してみると、こんな図式が浮かび上がってくる。日本企業がこれを乗り越えるためにCEOに求められるものは何だろうか。

 「日本はCEOの情報リテラシーが圧倒的に低い。トレンドに敏感な現場の意見に耳を傾けるべき。情報システムを導入して得られたデータの価値を認識し、迅速な意思決定によって経営に生かしていく。このような情報を活用したマネジメントスタイルが日本では確立できていない。また、AIやロボティクスといった最新テクノロジーに対して投資する姿勢、しっかり意思決定できる人が限られている。リーダーシップとスピーディな意思決定が日本のCEOに求められている」(宮原氏)

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ