難しいITの話を分かりやすく説明するための「プレゼン3原則」ITソリューション塾(2/2 ページ)

» 2017年09月17日 10時00分 公開
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「分かりやすい」プレゼンテーションの例

 1つの事例を紹介しよう。このチャートは、機械学習と推論についての関係を説明したチャートだ。まずはこのように、全体の関係を示す。例えとしては、動物を使ってみる。身近なアイコンとして心の壁を取り払ってくれる。

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 次は以下のチャート。機械学習の仕組みについて解説している。前ページで全体を示し、大きな構造を把握させ、続けてその詳細を伝えようという作戦だ。このように「まず全体を示し、次第に詳細に落とし込む」のは、プレゼンテーションの王道だ。

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 このチャートで説明が難しいのは「特徴量」だ。これは、統計確率論的アプローチとディープラーニングの本質的な違いを説明するために、欠かすことのできないキーワードでもある。この例では、詳細なアルゴリズムの解説は、「今日伝えるべきメッセージではない」と割り切って一切省いている。専門家に言わせると、それでは不十分ということになるのだろうが、この研修のゴールはそこにはないと割り切って、この程度の内容に絞り込んだ。

 そして、次は、以下の推論についてのチャートだ。全体のストーリーは「犬」と「猫」で統一しているから、これを外してはいけない。

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 この3枚によって、機械学習と推論、統計確率論的アプローチとディープラニーニングの本質を伝えようというわけだ。

 「分かりやすさ」の追求は、本質を見極める取り組みでもある。まずは、自分が納得できる「幹」と「枝葉」の区別を整理すること。そして、話す相手のコンテクストに寄り添う想像力、相手に聞きたいと思わせる演出。そんな3つの原則を心掛けている。

著者プロフィール:斎藤昌義

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 日本IBMで営業として大手電気・電子製造業の顧客を担当。1995年に日本IBMを退職し、次代のITビジネス開発と人材育成を支援するネットコマースを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。詳しいプロフィールはこちら。最新テクノロジーやビジネスの動向をまとめたプレゼンテーションデータをロイヤルティーフリーで提供する「ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA」はこちら


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