コレ1枚で分かる「産業発展の歴史から見るAIの位置付け」即席!3分で分かるITトレンド(2/2 ページ)

» 2017年09月26日 10時00分 公開
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人間の知的能力の拡張

 肉体的労働における効率向上は、ほぼ限界に達しました。そんな中で、効率向上に取り残されてきたのが「知的労働者(ナレッジワーカー)」です。

 マニュアル通りにはいかない営業職や弁護士、医師や看護師などは、常に変化する状況を読み解きながら、その時々の最適解を求められる仕事です。そのため、経験を重ね、広く知識を蓄積し、継続的に学習しなければなりません。その努力によって、個々の事象に対する個別最適解を見つけ出すことができるのです。作業をプロセスに分解し改善するにも容易なことではありません。

 ここに登場するのがAIです。20世紀後半から急速に進んだコンピュータ利用の結果、世の中のさまざまな出来事がデータ化されるようになりました。そのデータを使ってAIは学習(機械学習)し、それらの出来事の相互関係や構造、規則性を見つけ出してくれます。

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 この能力を使って人間の知的能力を拡張することができます。これによって、知的労働者の生産性を高め、最適化を一層推し進めようというわけです。

 IoTやクラウドの普及により、世の中のさまざまな出来事が、これまでにも増して緻密に、そしてリアルタイムにデータ化されつつあります。AIは、この膨大なデータを支えにその能力を高め、役割を広げていこうとしています。

 そして、自らが判断し、決定する機能を持とうとしています。これは、「自動化(Automation)」から「自律化(Autonomous)」への発展であり、産業は新たな段階を迎えようとしています。


 このように産業発展の歴史を振り返ると、それぞれの段階で人間は自らの役割を変えてきたことが分かります。AIの発展もまた、新たな役割の転換を人間に求めていくことになるのでしょう。

著者プロフィール:斎藤昌義

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 日本IBMで営業として大手電気・電子製造業の顧客を担当。1995年に日本IBMを退職し、次代のITビジネス開発と人材育成を支援するネットコマースを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。詳しいプロフィールはこちら。最新テクノロジーやビジネスの動向をまとめたプレゼンテーションデータをロイヤルティーフリーで提供する「ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA」はこちら


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