AIですべてのSaaSがスマートに、先端技術が簡単に使えるOracle CloudOracle OpenWorld San Francisco 2017 Report(1/2 ページ)

Oracle OpenWorld San Franciscoは3日目を迎え、基調講演には製品開発を統括するプレジデントのクリアン氏と、総帥エリソン会長兼CTOが再びステージに上がった。

» 2017年10月04日 12時00分 公開
[浅井英二ITmedia]

 米国時間の10月3日、「Oracle OpenWorld San Francisco 2017」は、日曜夕方のオープニングイベントから3日目を迎え、IaaSからPaaS、SaaS、さらにはData as a Servicea(DaaS)に至るまで幅広いサービスを提供する「Oracle Cloud」にスポットライトが当てられた。また、午後には恒例となっているラリー・エリソン会長兼CTOが再登場する基調講演も行われ、AIを活用し、高度に自動化されたセキュリティとマネジメントのためのクラウドサービスを披露した。

だれでもブラウザさえあればソフトウェアのパワーを

製品開発を統括するプレジデント、トーマス・クリアン氏

 午前の基調講演では、製品開発を統括するプレジデント、トーマス・クリアン氏が登場、「だれでもどこでもブラウザさえあれば簡単にソフトウェアのパワーを活用できるようにするのがOracle Cloudだ」とし、40年の歴史を誇るデータベースやアプリケーションこそがAmazonを筆頭とするライバルたちへの差別化ポイントだとアピールした。より高速なCPUやGPU、ストレージ、ネットワークといった優れたインフラをサービスとして提供するのはもちろんだが、AIのPaaSやそれが組み込まれたビジネスアプリケーションこそが、企業にとっては最先端のテクノロジーでビジネスを変革し、競争力を高め、成果を上げていく近道だ。

 クリアン氏の基調講演は、架空のプロバスケットチーム、Huskiesがファンとの絆を深め、チケット売り上げだけでなく、食事やグッズの販売でも成果を上げていくというストーリーに沿って進められた。

 Huskiesは「TicketBot」と呼ばれるチケット予約のためのチャットボットを導入している。熱心なHuskiesファンのジェーンがテレビで試合を観戦中、次はホームのアリーナに出掛けて応援したくなる。

ジェーン「次のゲームはいつ?」

TicketBot「ジェーンさん、金曜日です。今なら150ドルから200ドルで良いシートがあります」

Huskies TicketBotのデモ画面

 AIが機能し、試合の日時だけでなくプロファイルに応じてチケットまで提案、さらに「VIPの顧客には、10ドルの追加で食事をシートまで届けます」と畳みかける。

 ワイン好きの彼女は、どんなワインがあるのか聞き、提案された幾つかのリストから好みを見つけ、チケットと合わせて注文する。

 こうしたAIによる自然言語処理やレコメンデーションの機能は、PaaSとして活用できるほか、ERPからSCM、HCM、CRMと幅広いアプリケーションに組み込まれ、SaaSとして最先端のテクノロジーを簡単に利用することもできる。

 「アプリケーションはビジネスルールに基づいてプロセスを自動化するが、AIで機械学習させることによってビジネスルールを補完したり、入れ替えたりすることができる。調達先の選定や価格の設定はアルゴリズムによって賢くなり、人事においても最適な雇用と配置がアドバイスされる。OracleのSaaSはAIがシームレスに組み込まれ、どんどんスマートになっていく」とクリアン氏。

 もちろん、AIが正しいレコメンデーションを導き出すには、高い品質のデータが必要だ。

「ソーシャルで何を話し、どんなサイトを閲覧し、何を購入しているのか、ジェーンさんに似た女性がどんなパターンで行動しているのか、AIが魅力的なオファーを行うにはそうした質の高いデータが欠かせない」(クリアン氏)

 Oracleは、1500のデータプロバイダーと200以上のデジタルメディアからデータ提供を受け、30億人の個人と4億社のプロファイルを作成、プライバシーを侵害しない形で利用できるようにしたData as a Service(DaaS)の「Oracle Data Cloud」にも力を入れている。

 「アプリケーションはいずれコモディティになるとみている。それが扱う中身、つまりデータこそが競争優位の源泉になる。意味のないデータではAIも上手く機能しない。ビジネスの成果を上げる質の高いデータを提供するのが、Oracle Data Cloudだ。膨大なデータを上手く扱えるのもOracleだけ」とクリアン氏。

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