世界の食糧問題を解決するためには、データ分析の力が必要だ(1/3 ページ)

米Teradataの年次イベント「Teradata PARTNERS Conference」がスタート。基調講演で登壇したモンサントのトロイ・クライツ氏は、「データ分析が農業ビジネスの未来を左右する」と熱く語る。

» 2017年10月27日 08時00分 公開
[冨永裕子ITmedia]

 米Teradataは10月22日から、米国カリフォルニア州のアナハイムで年次イベント「Teradata PARTNERS Conference」を開催している。

 NCRから独立して以来、今回で10回目を迎えるこのイベントは、ユーザー企業主導で行われる「情報交換会」という側面が強く、世界各国の事例が数多く登場する。今回のテーマは「The Edge of Next」。Teradata 社長兼CEOのビクター・ランド氏は、「将来に向けて最先端まで行こうとする企業、あるいは、次のステップに進むための準備を進めており、テクノロジーとソリューションであと少しのところにいる企業に向けたメッセージ」とその趣旨を説明する。

 世界55カ国からバーチャルカンファレンス参加者を含む4580人の参加者が一堂に会した中、今回のカンファレンスリーダーを務めたユーザー企業は、バイオメーカーである米モンサントだった。

photo 米Teradataは10月22日から、米国カリフォルニア州のアナハイムで年次イベント「Teradata PARTNERS Conference」を開催している

世界の食糧問題を解決する「イノベーション」とは?

photo モンサント グローバル BIアーキテクト リードのトロイ・クライツ氏

 同社は、農業ビジネスと植物の種を作るバイオテクノロジー事業を展開している。同社 グローバル BIアーキテクト リードのトロイ・クライツ氏によれば、その企業文化は、科学とITを使い、イノベーションと新しい問題解決方法を見つけることを重視するもので、早く失敗することを尊び、結果的に、よりよいアイデアを見つけることを推奨しているという。

 同社がイノベーションを重視する背景にあるのは、世界の食糧問題だ。2050年までに世界の人口は、現在の76億人から96億人にまで増える見通しだが、食糧事情は厳しさを増している。

 経済成長を続ける中国、インド、アフリカ諸国などでは、中産階級が40%増え、2050年までには世界の人口の70%が都市部に住むことになるという予測もある。仕事やライフスタイルが変われば、当然食事の内容も変わる。さらに、気候変動の影響を受け、食糧生産は10年ごとに2%減少するとも言われている。

 モンサントはこのような予測を踏まえ、「農場主の生産効率を高め、天然資源の利用を減らし、世界の食糧ニーズを満たす」というビジョンを掲げている。

 世界の食糧問題は、今に始まったことではない。1940年代終わりから世界人口が飛躍的に伸び、1950年代に25億人に届いた際には、小麦や米不足への懸念は非常に深刻なものだった。これを解決したのは、農業にはテクノロジーが必要と考え「緑の革命」を推進した米農学者のノーマン・ボーローグ博士だった。

 博士はロックフェラー財団と共に研究を行い、病気に耐性があり、強風や乾燥に強い高収量の品種を開発した。その成果は、1956年のメキシコの自給自足を助け、その流れがインドやパキスタン、アジア、アフリカに広がったことから、ボーローグ博士は10億人以上を助けたといわれている。クライツ氏は「将来の食糧問題を乗り越えるためにも、科学とITのコラボレーションが必要になる」と強調する。

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