例えば、「AシステムとBシステムが連動していない」は単なる状況だ。
前述の通り、状況を書くことはとても大事だが、それだけでは足りない。「AシステムとBシステムが連動していない」ことで、「何にどう困っているのか」を書いてほしい。
システムが連動していないので……
「システム間の連携ができてない」という状況1つ取っても、「困っていること」は無数に考え得る。同じ状況でも、部署や担当者によって困っていることは違うかもしれない。
「AシステムとBシステムが連動してない」とだけ言われて、システムを1つに統合したとしよう。しかし、困っていることが、「システム横断でのデータ分析ができずに、営業機会を逃している可能性がある」ことだった場合、システム間をつなぐだけではダメで、適切な粒度で分析して営業につなげる機能を作る必要があるはずだ。
そもそも、適切な粒度でデータを保持できるように業務の流れも見直さなくてはならないかもしれない。そこまで考えないと、結局「困りごと」は解消されない。
困りごとをハッキリさせることで、打つべき施策の過不足が分かるようになるのである。
正直いって、現場から「要望」を広く集めると、非常に玉石混交になる。そして95%は“石”だ。よほど全体を見る視点の高い人でない限り、表面的な改善や対処の案を挙げるので精いっぱいのはずだ。
僕らのようなプロでも、現状と困りごとを確認し、真因の分析をして、ようやく効果的な施策を導き出せる。思い付きの改善案を数百個集めても、使えるのは数個と思った方がいい。
それよりも、「状況」と「困りごと」をしっかり教えてもらうことが重要なのだ。「状況」と「困りごと」が根っこの課題を見つけ、最も効果的な施策を考える基となるデータなのである。
ちなみに、本記事では、「業務上の課題」をまとめる課題リストを例にしているが、「プロジェクト運営上の課題」の場合も同じ考え方になる。例えば
といった類のものだ。これも、「どんな状況で何に困っているのか」を書くのが原則だ。
という感じの書き方になると、課題の状況も重要度も一発で分かるようになるはずだ。
「課題リスト」には、「状況」と「困っていること」をセットで書くこと。
「(1)今こういう状況で」+「(2)こんな風に困っている」+「(3)だからこうしてほしい」という構造で書くのが基本的なお作法になる。(3)は書いても書かなくてもいい。
例えば、
(1)システム間の連携がなく、人が手で加工してデータ連携しているため
(2)入力ミスが多くて補正に時間がかかっている
(3)だから、自動連携してほしい
(1)車両管理がシステム化されておらず、個々にExcelで管理しているため
(2)会社全体で集中購買ができず、コスト高になっている可能性がある
(3)だから、車両管理を全社横断でやりたい
という感じだ。
(3)はあってもなくてもよい。(1)(2)があれば、問題を深掘りし、原因を見つけ、最適な打ち手を打てるようになる。(1)(2)はどちらが欠けてもダメだ。セットで必要。
あなたのプロジェクトの課題リストは、この3つがそろっているだろうか?
コンサルティング会社、ケンブリッジのコンサルタント。一級建築士。ファシリテーションとITを武器に変革プロジェクトを支援しています。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.