ハイブリッドクラウドを支える「ハイパーコンバージドシステム」の選び方Weekly Memo(2/2 ページ)

» 2017年12月11日 11時00分 公開
[松岡功ITmedia]
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使いたいアプリケーションが快適に動くかがポイント

 Nutanixの基盤ソフトウェアは、IBM、Dell EMC、Lenovo、Cisco、HPEなどが自社のハイパーコンバージドシステムに採用しており、オンプレミス環境だけでなく、Amazon Web Services(AWS)、Google Cloud Platform(GCP)、そしてMicrosoft Azureも含めたクラウドサービスとも連携できるハイブリッドクラウドの実現を売り物にしている。

 ここで興味深いのは、システムを手掛けているハードウェアベンダーのうち、Dell EMC、Lenovo、Cisco、HPEがAzure Stackも採用していることだ。すなわち、有力ベンダー4社がハイパーコンバージドシステムの基盤ソフトウェアとして、NutanixもMicrosoftも両立すると見ているわけだ。その中でも、とりわけ日本での対応の注力ぶりが目立ったのがレノボである。

 レノボ日本法人はNutanixの基盤ソフトウェアを搭載したシステム製品を2016年7月から提供しており、2012年からNutanix製品を国内で提供している日商エレクトロニクスとも販売パートナー契約を結んでいる。従って、今回のAzure Stack搭載製品における協業は、ハイパーコンバージドシステムをベースとしたハイブリッドクラウド市場を両社でリードしていこうという強い意欲の表れといえる。

 だからこそ、そんな両社に聞きたかったのは、ユーザーから見てハイパーコンバージドシステムを採用する際、どんなポイントをチェックしてNutanixあるいはAzure Stackのどちらを選べばよいのか、である。会見の質疑応答でこの点を聞いたところ、日商エレクトロニクスITプラットフォーム事業本部の坂井俊朗 執行役員事業本部長と榎本瑞樹 副事業本部長が次のように答えた。

 「最も重要なのは、どのようなアプリケーションを使ってビジネスの成果を上げていきたいのかを明確にすること。それによって適用するシステムが違ってくる。使いたいアプリケーションが、Microsoftのハイブリッドクラウドのほうが活用しやすいならばAzure Stackを採用するべきだ。一方、NutanixはこのところGoogleと組んでGCPとのハイブリッドクラウドに注力しており、Azureとはサービス内容がかなり異なることを認識しておく必要がある」

 さらに、こう続けた。

 「ハイパーコンバージドインフラとしてのスケールアウトの実績や規模感では、先行しているNutanixに優位性があるように思う。一方、Microsoftにはこれまでの法人向けビジネスにおける実績とブランド力があり、Azure Stackの潜在需要は非常に高いとみられる。いずれにしても両社の基盤ソフトウェアが普及するにつれ、その下のレイヤーであるハードウェアは今後、差異がなくなっていくだろう」

 要は、自分たちが使いたいアプリケーションが快適に動くハイブリッドクラウドを実現できるハイパーコンバージドシステムを選ぶべきだと。言われてみると当たり前のことではあるが、システムの内容ばかりに目を奪われないように的確な選択を行っていただきたい。

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