2018年はデジタルネイティブ企業(DNE)への変革の年――IDC、2018年の国内IT市場の主要10項目を予測(2/5 ページ)

» 2017年12月15日 17時30分 公開
[金澤雅子ITmedia]

3.労働生産性の向上や柔軟な働き方の必要性が企業で高まり、働き方改革に向けたICT市場が成長する

 IDCの調査によると、働き方改革における企業課題の上位2項目は、「残業時間の削減」「労働生産性の向上」だという。課題解決に向けたさまざまな取り組みが実施されているが、例えば労働生産性についてIDCは、ICTの活用が限定的であることなどから、生産性の向上を目指すICTは今後も活用の余地が大きいとしている。

 またIDCは、国内の働き方改革におけるICT市場規模(支出額ベース)についての市場予測を発表し、2021年までの年間平均成長率(CAGR)は7.9%で推移すると予測している。

 ITサプライヤーは、単にICTツールを提供するだけではなく、企業の働き方改革への動機と目的を理解し、具体的なICTツールの採用へ導く道先案内人としての重要な役目が期待されているという。

4.発展が続くクラウドは第2世代(クラウド2.0)に進化し、IT変革が加速する

 IDCは、2018年以降の国内クラウド市場は、「従来型ITからの移行」「DXの基盤」を両輪として高い成長を継続し、2018年の同市場の支出額規模は2兆円を超えると予測。クラウドは多様なビジネスニーズに対応するために発展し、現在は、第2世代となる「クラウド2.0」へと進化を始めた段階だとみている。

 クラウド2.0で最も注視すべき動向は「分散」と、それに関連して発展する「ハイブリッドクラウド」「ハイパーアジャイルアプリケーション」「DevOps/誰もが開発者」だ。これらは、アプリケーションアーキテクチャや開発方法論、ITバイヤーの組織体制やスキルなどを根本から変える動向であり、IT変革を加速するものになるという。

 現世代のクラウドは、従来型ITのアーキテクチャを継承することも可能であったが、DXアプリケーションといった「迅速性」「拡張性」「連携性」が求められるワークロードでは、アーキテクチャの刷新が必須となる。ハイパーアジャイルアプリケーションでは、クラウドネイティブアーキテクチャ/マイクロサービスに対応したPaaS(Platform as a Service)を活用することが増加するとIDCは予測。2021年には、新規開発アプリケーションの50%が、クラウドネイティブアーキテクチャ/マイクロサービスに対応したPaaSを活用したものになるとみている。

 また、アプリケーションアーキテクチャの刷新と並行して、開発方法論もDevOpsのアプローチを取り入れたものへ移行する。DevOpsと関連して、ローコード/ノーコード(Low Code/No Code)の開発ツールが劇的に拡充、改良され、技術系以外の開発者が急増し、「誰もが開発者」の時代が到来するという。

 ローコード/ノーコードには、既存のアプリケーションを組み合わせて、業務担当者が必要とする業務アプリケーションを構築する「コンポーザブルアプリケーション」と、マイクロサービスベースの機能やプロセス、データをAPI連携によって開発する「イベント駆動型フレームワーク」という2つの大きなトレンドがある。特に、コンポーザブルアプリケーションについてIDCは、2021年には新規ビジネスアプリケーションの40%が技術系以外の開発者によって開発されるようになると予測している。

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