2018年はデジタルネイティブ企業(DNE)への変革の年――IDC、2018年の国内IT市場の主要10項目を予測(3/5 ページ)

» 2017年12月15日 17時30分 公開
[金澤雅子ITmedia]

5.国内のIoT利用企業の1割が、データ流通エコシステムを通じ既存事業以外への事業領域の拡大を図る

 国内企業を「IoTに積極的に取り組む企業」と「IoTに対して様子見を続ける企業」という2者に分類した場合、両者を分ける最も大きい要因の1つは、ROI(投資対効果)だという。

 国内の中堅中小企業を中心に、経営者の多くはIoTを活用したデジタルビジネス創出の必要性を認識しつつも、中長期的なROIの見極めが難しいことを理由に、IoTプロジェクトをPoC(Proof of Concept:実証実験)フェーズから本番環境に移行することをためらうケースが少なくない。

 こういったジレンマを解消するには、各産業の企業は既存の競争ドメインだけではなく他産業を含めて水平展開を行いIoTの活用を広げることが、投資のリスクヘッジを保ちつつ、効果的にデジタルビジネスの収益性を高める有効な手段になるとIDCはみている。

 またIDCは、2018年末までに国内のIoT利用企業の1割が、データ流通エコシステムを通じて既存事業以外への事業領域の拡大を開始すると予測している。

6.コグニティブ/AIシステムが普及期に入り、2018年には2017年の2倍に市場が拡大する

 コグニティブ/AIシステム市場は、2017年の国内市場ではブームともいえる状況だったものの、実際のビジネスに対する適用は少数で、PoCが大多数を占めていた。IDCは、2018年以降は、AIの効果的な適用領域を見つけ出し、本格導入フェーズに移行するとみている。

 この背景にはAIの適用領域(用途)の拡大があり、現在の主流である大規模なデータ分析に対する集計の迅速化や異常値の検出、顧客サポート(コンタクトセンターでのオペレーター補助など)や金融機関での不正検知から、サービス業における専門家サービスの補助や、業務と製品品質の向上を目指す製造プロセスの改善、流通業でのチャットbotへの適用による自動受注プロセスの実行、サイバーセキュリティ対策へのAIの利用など、より具体的な業務補助の役割への拡大が見込まれる。

 さらに、AIスピーカー、AR/VRへの適用や、消費者向けロボット、自動車といった消費者向けのAI利用の拡大も進み、「誰でも、どこでもAI」に触れる環境が整うという。

 このように、適用範囲を広げ、IoTやOTを含むあらゆるアプリケーションで活用されるAIを、IDCは「パーベイシブAI」と呼ぶ。AIは、働き方改革の本格化を迎える2018〜2019年には東京オリンピック/パラリンピック向けの投資とともに急速に普及する。その市場規模は2017年の275億円から2018年には549億円へと約2倍に急成長し、2019年には1000億円を超えると予測する。

 あらゆるアプリケーション/ワークロードにAIが利用されることで、既存の「第2のプラットフォーム」をベースとしたアプリケーション/サービスに対して、第3のプラットフォームへの移行を促進し、新たな付加価値やイノベーションを提供することになる。この潮流に乗り遅れるIT(第2のプラットフォームにとどまり続けるIT)は、次第に競争力を失い、市場から脱落していくという。

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