2018年はデジタルネイティブ企業(DNE)への変革の年――IDC、2018年の国内IT市場の主要10項目を予測(4/5 ページ)

» 2017年12月15日 17時30分 公開
[金澤雅子ITmedia]

7.GDPRによるデータ主権の脅威に企業がさらされ、データ保護に対するブロックチェーンの有効性が試される

 2018年5月に施行が予定されている「EUの一般データ保護規則(GDPR)」「シンガポールの個人情報保護法(PDPA)」など、日本国外のデータプライバシー法は、データ主権に基づいた法規制になりつつあり、プライバシー保護に対して厳しくなっている。

 このため、企業における顧客や社員のパーソナルデータの取り扱いは、管理責任の明確化や、個人データの取り扱いの厳格化など、プライバシー保護を考慮したビジネスプロセスの見直しが必要で、サイバーセキュリティとデータ保護のテクノロジーを導入し、厳密なデータ活用を実施していくことが求められる。

 そこで、データ保護のテクノロジーとして注目されているのがブロックチェーンだ。IDCは、ブロックチェーンについて、P2P(Peer to Peer)ネットワーク、分散台帳、暗号化、スマートコントラクト、コンセンサスアルゴリズムなどの複数の技術を組み合わせ、完全性と可用性が高い堅牢な分散型記録管理システムを実現し、情報セキュリティ対策として有効なテクノロジーとしている。

 パーソナルデータの管理にブロックチェーンを活用することで、完全性と可用性を高められる一方、ブロックチェーンの特性である匿名性については法的課題もあり、身元確認と開示、情報公開などの適法性が問われる。IDCは、GDPRの施行によって、パーソナルデータの保護に対するブロックチェーンの適法性の検証が進み、有効性が試されるとみている。

8.エンタープライズインフラストラクチャ支出モデルの多様化が進むとともに、ベンダー間の競争力の差が広がる

 IDCは、2018年の国内エンタープライズインフラストラクチャ(サーバ、ストレージ、イーサーネットスイッチ)市場の支出額は、7023憶3400万円で前年比2.6%減、2016〜2021年のCAGRは0.8%減と予測している。支出額全体のマイナス傾向が続く中で、エンタープライズインフラストラクチャに対する支出モデルの多様化が進むとともに、最新テクノロジーの採用がエンタープライズインフラストラクチャの市場構造を変えていく。2018年は、そうした変化が加速し、ベンダー間の競争力の差が広がる年になるという。

 ユーザー企業のインフラに対するニーズは、高信頼性、高可用性、導入の迅速性、柔軟な拡張性、運用管理の容易性、運用管理コスト削減など、多様化している。また、専用ハードウェアとそのハードウェアのみで稼働する専用ソフトウェアが密結合したアプライアンスの登場によって、従来型エンタープライズインフラストラクチャでは、多様化したニーズへの対応が困難になっている。

 このためIDCは、エンタープライズインフラストラクチャの支出モデルを「アプライアンス(Appliance)」「ソフトウェア(Software Only)」「コンバージドシステム(Converged System)」「ハイパーコンバージドシステム(Hyperconverged System)」「サービス(Service Based)」の5つに分類。DXに取り組む企業は、5つのモデルの中から自社のDXを支えるインフラに最適なもの(またはその組み合わせ)を選定することが重要な課題となる一方、ベンダーは、多様な支出モデルの提供能力が問われることになり、その提供能力がベンダーの競争力に大きな影響を与えると分析する。

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