2018年、IT業界は最新技術とユーザー企業とのギャップ解消に努めよWeekly Memo(2/2 ページ)

» 2018年01月09日 11時00分 公開
[松岡功ITmedia]
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求められる業種別・地域別の“ITコンシェルジュ”

 では、AIを含めた最新ITとユーザー企業との間のギャップをどのように埋めていけばよいのか。まずは、システムインテグレータとしてユーザー企業との間で最前線に立つ伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)の菊地哲社長と、富士通マーケティング(FJM)の藤田正美社長の年頭所感から、ユーザー企業に対するそれぞれの姿勢について紹介しておこう。

 「ITが必要とされるのは、IoTやAI、FinTechばかりではない。CTCにはお客さまの基幹システムやその周辺のシステムを最新の環境で構築し、しっかり動かし続けるというこれまで同様の重要な役割がある。2018年はそういうお客さまの足元固めと、その上で始まるデジタルトランスフォーメーションの両面をバランスよく、強力にサポートしていく年になる」(CTCの菊地社長)

 「当社はお客さまの業務課題に対するソリューションを得意としているが、これからは、時にはそれを超え、お客さまとともにビジネスを創る、あるいはお客さまとお客さまをつなぎ、新しい枠組みを創る、そうした新しい関係づくりに積極的に取り組んでいきたい」(FJMの藤田社長)

 両社のコメントから感じるのは、顧客企業に対しての強い思いと変化への対応である。そこで筆者が言いたいのは、こうした姿勢でユーザー企業に臨む“ITコンシェルジュ”がもっと出てきてほしいということだ。ユーザー企業がデジタル革命を推進していくためには、これまでにも増してそれを支援するIT企業の存在が不可欠ではないだろうか。

 最近の本連載記事からピックアップすると、2017年12月18日掲載の「AIのビジネス活用を日本の“お家芸”に――AI分野11社が結集した企業連合の野望とは」、11月20掲載の「中堅中小企業の働き方改革はどうすれば進むのか」、10月23日掲載の「“ひとり情シス大学”で何を学べるのか Dell EMCに聞く開校の狙い」で紹介した動きも同じ“志”といえよう。

 特にAIの活用を考えるならば、収集するデータの特性もあることから、業種別と地域別にITコンシェルジュがどんどん出てくることが望ましい。これから起こるデジタル革命は、つまりはユーザー企業自体がデジタルビジネスに取り組んでいく形になる可能性が高いことから、おそらくITコンシェルジュとの協業が盛んに行われていくようになるだろう。ITコンシェルジュがどんどん出てくることが望ましいのは、そのためでもある。

 あらためて、「2018年、IT業界は最新技術とユーザー企業との間のギャップ解消に努めよ」というのが、今回のメッセージである。

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