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» 2018年01月10日 16時00分 公開

NECが英ITサービス企業を700億円で買収、その狙いは?

NECが英ITサービス企業「Northgate Public Services」を買収すると発表。個別SI事業を中心としたビジネスモデルからの脱却や、セーフティー事業のグローバル展開に注力する狙いがあるという。

[池田憲弘,ITmedia]
photo NEC 代表取締役 執行役員社長 兼 CEO 新野隆氏

 NECは1月9日、公共向けITサービスを手掛ける英Northgate Public Services(NPS)を4億7500万ポンド(約713億円)で投資ファンドCinvenから買収すると発表した。買収は2018年1月末に完了する見込みで、同社のセーフティ事業を海外向けに展開する足掛かりにしたい考えだ。

 NPSは1969年に設立した企業で年商約250億円、従業員数は約2000人。英国を中心とした公共分野向けのソフトウェア開発やSaaS事業を手掛けており、官公庁や自治体、警察が主な顧客となっている。警察業務や税徴収、社会保障給付、公営住宅管理といった分野のソリューションやプラットフォームを展開し、英国内で高いシェアを持つとしており、今後、NECの強みである生体認証技術などを組み合わせて拡販するという。

 NPSの強みについて、記者会見を行ったNEC 代表取締役 執行役員社長 兼 最高経営責任者(CEO)の新野隆氏は、プラットフォーム化による利益率の高さを強調する。

 「NPSの売り上げは4分の3が政府系で、4分の1が警察系。プラットフォーム化に成功しているため、高い利益率を誇るのが特徴だ。英国では、世界で最もデジタル化が進んでいるが、データ連携や分析などが追い付いていない状況。NPSの共通業務のプラットフォームやデータプラットフォームに、NECの分析プラットフォームを組み合わせることで、シナジーが生まれると考えた。この買収がわれわれのビジネスモデルを変える、大きなきっかけになれば」(新野社長)

photophoto NPSは警察向けの犯罪事案管理プラットフォームなどで、英国内でトップのシェアを誇る(写真=左)。NPSの買収でデータを活用する共通業務プラットフォームを獲得できるという(写真=右)
photophoto NECが想定しているNPSとのシナジーの例。生体認証技術やデータ分析技術を取り入れることで、付加価値の向上を目指すという

 利益率が数%程度と低くなりがちな、個別SI事業から脱却し、プラットフォーム展開で高い利益率を目指す――セーフティー事業に限らず、これがNECのグローバル展開に必須の条件になると新野社長は語った。

 NPSのサービスは英国の公共向けが中心であるため、ITサービス全体の中でのシェアは比較的少ないものの、社会制度面などで類似しているカナダやオーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、インドといった英連邦市場への展開を視野に入れているという。

 NECのセーフティ事業の売上高は現状で1000億円程度。その内訳は、国内と海外が半分ずつを占める格好だ。「海外におけるセーフティ事業は投資段階」(NEC)とのことで、現在は黒字化できていないが、今回の買収を手始めに、今後もM&Aや業務提携などの施策を行い、2020年度には営業利益率5%以上、EBITDA率(税引前利益と特別損益および支払利息、減価償却費を加算した値)20%以上の達成を目指す。

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