オラクルはクラウドの新規顧客をどうやって増やすのかWeekly Memo(2/2 ページ)

» 2018年01月29日 11時00分 公開
[松岡功ITmedia]
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競合するクラウドサービスとの価格競争力に自信

Photo 日本オラクルの竹爪慎治 執行役員クラウドソリューション営業統括

 これらの話を踏まえたうえで、改めて、オラクルはクラウドの新規顧客をどうやって増やしていくのか。これに対し、筆者の取材に応じた竹爪氏は「3つの顧客別アプローチ」と「戦略的な価格」について説明した。

 まず、3つの顧客別アプローチについては、顧客企業を「超大手」「大手・準大手」「中堅・中小」と規模別に分け、それぞれの顧客ニーズに対応した取り組みを行っていくというものだ。

 例えば、超大手に対しては、各事業部門とプロジェクトを組んでクラウドを活用した新しいビジネスを創出するといったアプローチだ。オラクルからは製品やサービスに加えて、プロジェクトメンバーとしてさまざまなエキスパートも投入する。同氏によると、「20社程度が対象で、それぞれに緊密なパートナーシップを築いていく」という。

 また、大手・準大手向けには、SaaSを中心にクラウドへの移行を促進し、そこからPaaS/IaaSへと広げていくアプローチだ。そして、中堅・中小向けには2017年、活動を本格的に始めた営業組織「Oracle Digital」が対応。中堅・中小企業がクラウドサービスを活用しやすいように顧客ニーズを踏まえた“パッケージ商品”をそろえていく構えだ。同社は現在200人規模のOracle Digitalを2018年度(2018年5月期)には倍増させる計画だ。

 一方、戦略的な価格とは、IaaS/PaaSの価格体系を見直して2017年9月に発表した「Universal Credits」のことだ。竹爪氏は、「従来のオラクルのIaaS/PaaSと比べると、ストレージサービスで最大10分の1、コンピュートのサービスでも半額以下で利用可能になった。競合他社のクラウドサービスと比べても価格競争力は十分にある」と強調した。(図3参照)

Photo 図3 「Universal Credits」と従来のクラウドサービスとの比較。Meteredはサービスごとの前払い従量制、Non-Meteredはサービスごとの前払い月額固定、PAYGは後払い従量制、Monthly Flexは全てのサービスを自由に組み合わせて前払い月額固定。PAYGとMonthly Flexが新たに導入された。(出典:日本オラクルの資料)

 さらに同氏は、「クラウドサービスのラインアップ、競争力のある価格体系、そして顧客別アプローチに対応した組織体制が、2018年に入って整ってきた。とくにサービスのライアンアップと新たな価格体系については、これからお客さまにもっと分かりやすく提示していきたい」と強調した。そして、続けたのが冒頭のメッセージである。

 ちなみに、日本オラクルの全売上高に占めるクラウド事業比率は直近の四半期(2017年9−11月)で6.7%。まだ1割にも満たない事業規模だが、注目されるのは成長率が高いからだ。この割合が今後増えていくにつれ、既存顧客の移行だけでなく、新規顧客を拡大していけるかどうか。将来のオラクルの存在感を示すバロメーターになるだけに、注目しておきたい。

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