2018年 主要ベンダーのNVMe製品戦略総まとめ(後編)Excelero、E8 Storage、Apeiron Data Systems

NVMeストレージのアプローチは実に多彩であり、製品はどれも特徴的だ。後編では、Excelero、E8 Storage、Apeiron Data Systemsの製品戦略および製品の特徴をまとめた。

» 2018年02月21日 10時00分 公開
[Chris EvansComputer Weekly]

 前編(Computer Weekly日本語版 2月7日号掲載)では、XIO TechnologiesとPure Storageの製品戦略および製品の特徴を紹介した。

 後編では、Excelero、E8 Storage、Apeiron Data Systemsの製品戦略および製品の特徴について解説する。

ストレージ製品におけるNVMe

Excelero

 次もNVM-oFを採用する新興企業の話題だ。Exceleroは、NVM-oFを使用してノードベースのスケールアウトアーキテクチャ「NVMesh」の開発を進めている。NVMeshシステムでは「RDDA」(リモートダイレクトドライブアクセス)という専用テクノロジーを使用して、複数のコントローラーがConverged EthernetとRoCE経由で接続される。これによってどのノードも、ドライブが常駐するシステムのプロセッサオーバーヘッドがほとんどまたは全くない状態でドライブにアクセスできるようになる。NVMeshはAxellioと同様、ハイパーコンバージド形式に導入できる。この形式では、各ノードがコンピューティング機能とストレージを提供する。また、コンピューティングノードがクライアントのブロックドライバを実行する専用ストレージプラットフォームとしても導入できる。

 NVMeshはソフトウェアソリューションとして販売されているため、ユーザーは手持ちのハードウェアを使用することができる。また、Micron Technologyなどのパートナーのハードウェアを購入することも可能だ。Micronは自社の「SolidScale」製品にNVMeshを組み込んでいる。NVMeshはNVMeの容量のほぼ100%をホストI/Oに活用できるというのがExceleroの説明だが、この種の分散アーキテクチャでは確かに信じられる主張だ。だが、妥協点もある。本稿執筆時点では、データの保護がRAID 0、RAID 1、RAID 10に限定され、容量削減技術はユーザーが実装しない限りサポートされない。ただし、今後対応を予定していることが同社のロードマップで示されている。

E8 Storage

 E8 Storageも、クライアントとストレージの接続にファブリックベースのアプローチを使用する新興企業だ。「E8-S24」と「E8-D24」シリーズのアプライアンスはI/Oパスと制御プレーンを個別のハードウェアに分割する。E8ディスクシェルフは24台のNVMe SSDを収容し、E8-S24は100ギガビットイーサネットの4倍、E8-D24は100ギガビットイーサネットの8倍のネットワークを提供する。1つのシェルフでは、RDMA NICを使用して最大96台のクライアントサーバに接続できる。データのサービス(可用性と管理)は、データパス上にないE8コントローラーのペアを通じて処理される。

 Exceleroと同様、E8 Storageはシステム管理によってNVMeの容量を分散させ、コントローラーをI/Oパスから切り離している。これにより、各コントローラーに多数のXeonプロセッサを導入することなくシステムのスケーラビリティが大幅に向上する。だが、ドライバを追加で使用することでクライアント側の複雑性が高まる。ただし、E8-S24とE8-D24は100ミリ秒(読み取り)と40ミリ秒(書き込み)の待機時間、1000万の読み取りIOPSと100万の書き込みIOPS、40Gbps(E8-S24)と20Gbps(E8-D24)のスループットを実現できるという。

Apeiron Data Systems

 Apeiron Data Systemsも新興企業だ。同社は、NVMeをネットワークで使用して、データパスとコントローラーを切り離す。同社の「ADS1000」は「NVMe over Ethernet」というプロトコルを使用する。そのため、各クライアントにカスタムのホストバスアダプター(HBA)が必要になる。HBAはIntel(旧Altera)のFPGAを使用してNVMe要求をパッケージ化し、レイヤー2イーサネット経由で送信する。これにより各エンクロージャーが最大384TBの容量(16TBドライブ24台)を提供でき、待機時間は100ミリ秒程度になるという。興味深いことに、同社は「Intel Optane」でのパフォーマンス値として12マイクロ秒の読み取り/書き込み待機時間を引き合いに出している。これは、コントローラーのボトルネックを排除するアーキテクチャが向かう先は「パフォーマンス向上」であることを示している。

Kaminario

 最後に、2017年8月に「K2.N」を発表したKaminarioについても触れておく。K2.Nは組み立て可能なストレージインフラで、ストレージシェルフとコントローラーを個別に拡張できる。バックエンドでは、NVM-oFを使用してKaminarioのコントローラー(c.node)がストレージ容量(m.node)に結び付けられる。フロントエンドでは、ファイバーチャネルとiSCSIに加えてNVM-oFにも対応するようホストのサポートが拡張される。

NVMeフラッシュアーキテクチャの行く末

 以上により、次の3つのパターンが出現していることが分かる。

1.ファイバーチャネルやiSCSIではなくNVM-oFによるホスト接続の使用

既存のHBAがNVM-oFをサポートできるため、新しいハードウェアの必要がない。

2.データパスからコントローラーを切り離す分散アーキテクチャ

そのほとんどが、カスタムの、または(恐らく)より高価なHBAとホストドライバを必要とする。

3.システムのバックエンドでNVM-oFを使用する傾向

 NVMeは、近い将来、あらゆるパフォーマンスの解決策としてSASやSATAに取って代わるだろう。従来の共有ストレージアレイを使用しないで共有ストレージを実装する方法について、ユーザーは頭を悩ませることになるかもしれない。つまり、より総合的な方式でスタック全体を考えなくてはならない。恐らく、ハイパーコンバージドインフラが発展してきた道筋をたどることになるだろう。

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