ゼロからIT部門を作り直した――急成長する不動産企業「オープンハウス」の舞台裏【特集】Transborder 〜デジタル変革の旗手たち〜(3/4 ページ)

» 2018年02月26日 08時00分 公開
[池田憲弘ITmedia]

IT企業から事業会社に転職した理由

 Domoをはじめ、多岐にわたるIT施策を仕掛けているオープンハウスだが、自分たちが作ったものが、ちゃんとユーザーに使ってもらえているかを日々調査していると田口氏は話す。

 「ツールが変わるとやっぱり抵抗があったり、ワンステップ手間が増えると使われなかったりということはもちろんあります。そのため、IT部門として導入したものが本当に使ってもらえているのかということは調べますし、使われていなければ形を変えるか止めるかという判断をしますね。Googleのフォームでアンケートをとったり、デバイスやシステムの活用状況を定点で追ったりしています。アプリも内製をしているので、修正も素早く行えます」(田口氏)

 田口氏はITサイドの企業から、事業会社に移った経歴を持っているが、それはITを実際に使う人のそばに行きたい、という思いからだった。コンサルから当事者へ。ツールを本当に使ってもらえているのか、という調査が簡単にできるのも、事業会社で内製する体制をとっているためだ。

 「NTTやベリサインにいたころは、『ITを導入して使っていただく』という立場で、現場にとっていい製品やサービスだと思っていても、話す相手は情報システム部門の方で、現場で実際に使う人と直接話すことはなかなかありませんでした。その結果、システムは1回作っておしまいで、最初は良くても、後から不満が出てくるという状況を何度も見てきました。結局、事業会社のIT部門に入って、自分が直接話をすればいいんだと思ったのが、コンサルから“当事者”に移ったときの考えでした」(田口氏)

 さまざまな企業をわたり、数々のビジネスモデルを見てきたことは、自分の糧になっているという。しかし、今はどの業界にいたとしても変化のスピードは早くなっている。こうした変化についていくのは、マインドや志の問題だと話す田口氏。「どの業界でも、2年くらいで新しい技術がやってくるので、毎年受験勉強のような気持ちで臨んでいますよ」と笑う。

 デバイスや技術、ビジネス環境などの外的要因が変わり続けている中で、自分の価値を発揮し続けるには――。田口氏は、自分の一番の強みはコンセプトを具現化できる点にあると強調する。

 「いろいろあっても、究極、最後は自分がコードを書けばいいでしょうということです。ゼロからイチを作れる人たちの自信や強みというのは、やはり今あらためて日本企業は感じなければいけないと思います。日本におけるITシステムの構築は多層化していて、元請けの方々が実際に手を動かしてコードを書いてということが少なくなってきている。これは業界全体の課題として、解決しなくてはいけないという危機感はありますね」(田口氏)

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