時間が100分の1に短縮! AIを活用した調理動画解析の破壊力LIXIL×ABEJA(2/2 ページ)

» 2018年02月26日 12時20分 公開
[田中宏昌ITmedia]
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行動観察の自動化で時間が100分の1に短縮

 原田氏達が苦労して作り上げた動画解析システムを、運用現場ではどのように利用しているのだろうか。

 森氏は「行動観察を自動化して時短化できれば、本来注力したい再構築や着想を得たり、想像したりするフェーズに時間を割くことができる。そこで、AIを活用した動画解析システムで得られた物体認識データを活用した」と話す。

photo 動画解析システムを使ったユーザーの調理行動分析
photo 行動観察を自動化することで、必要な時間が100分の1にまで短縮でき、本来取り組みたい部分に時間を再配分できるようになったという

 森氏は「AIを活用した調理動画解析で得られた物体認識データから何を見つけ、どう理解するのかを半年かけて再構築してみたところ、興味深い成果が得られた。試しに6人の調理パターンを見たところ、3つの波形パターンに分かれた。調理の過程で都度片づけや洗いが入る『波形パターン』では、キッチンを幅広く利用できた一方で、『単調増加パターン』や『崖パターン』はちょくちょく片づけを行わないため、狭いエリアで作業する傾向にあることが分かった」と具体的なデータを示しながら説明。

photo 横軸が時間、縦軸がアイテムのカテゴリーやメニュー、種類で分別したガントチャート
photo 時間tに検出される調理道具の数をカウントしたグラフ
photo 「単調増加パターン」と「崖パターン」は、キッチン上が飽和しているのが分かる
photo 調理者の導線を重ねることで、キッチンの飽和度が片づけや洗いの有無が影響していることが浮かび上がった

 最後に森氏は、「これまで手作業でやっていた作業をAI化することで、可視化や分析が容易に行えるようになった。今回得られた3つのパターン分析をベースに、アンケートなどの知見、ユーザーインタビューなどを重ね合わせることで、新しいキッチンを提案していきたい」と抱負を語った。

photo AIを活用したパターン分析を基に、ユーザーの特性に応じたキッチンを提供するという
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