AppleがMacのCPUをArmベースでするというのは、CPUもコントロール下に置きたいからでしょう。
IntelのCPUは高性能ですが、Appleの自由にはなりません。Appleは「iPhone 4」用の「Apple A4」プロセッサからArmベースでCPUの自社設計を開始しましたが、それは、他のスマホよりも早く、さまざまな新機能を実現したかったからです。他社が作るCPUをベースにしていては、競合を出し抜くことはできません。
iPhone 4のA4では、Retinaディスプレイのサポートと省電力化、「iPhone 5S」の「Apple A7」では、他社に先駆けて64bit対応を果たし、そしてiPhone X/8で採用された最新のA11 Bionicでは、これも他社に先駆けてAI用のニューラルエンジンを搭載しました。
CPUをも含むハードウェアとOS、ソフトウェアを一体開発し、それを高品質なサービスとして提供するのがAppleの「勝ちパターン」となっているのです。
Appleは、これをMacでもやりたいのでしょう。同じArmベースになれば、iOSとのアプリの互換性をとることもできます。
先日、ITソリューション塾でMicrosoft CSOの河野さんに講義をしていただいたのですが、その中に「もうOSはいらない」という話が出てきて、びっくりしました。この話はいずれ書きたいと思っていますが、「今後、OSの役割は大きく変わる、今までと同じ形では残らないだろう」ということです。OSに対する考え方自身が、大きく変わろうとしています。
クラウドの普及によって生まれてきたWebサービス、Webアプリから見れば、CPUやOSの違いは何の意味も持ちません。また、不揮発性メインメモリも、アプリケーションの在り方を大きく変えようとしています。これまでの延長線上でのOSやアプリ、互換性などを論じるのは、意味がなくなっていくということでしょう。
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