いいことばかりではない? MSのテレワーク体験プログラムから見えてきた課題と解決策Microsoft Focus(3/3 ページ)

» 2018年05月12日 07時00分 公開
[大河原克行ITmedia]
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企業はテレワークへの理解醸成も必要

 だが、テレワークの活用や女性の就労について課題があるのも事実だ。

Photo Tristオーナーの尾崎えり子氏

 ウーマン テレワーク 体験プログラムを流山市で実施しているTristのオーナーである尾崎えり子氏は、「ウーマン テレワーク 体験プログラムでは、ワクワクしながら受講している女性が多い」と前置きしながらも、「だが、受講した女性が持っているスキルと、企業が求めているスキルが合致しないケースも多い。これが一番の課題といえる。特に、企業側が、どんな仕事をテレワークに任せられるのを分かっていないケースが目立つ」と指摘する。

 そして、「ウーマン テレワーク 体験プログラムは、女性にとって新たな挑戦であるだけでなく、企業にとってもトライアルであり、テレワーク自体について学べるものになっている」とコメントする。

 また、こんな指摘もある。

 「テレワークの社員が会社に電話をかけたら、『お疲れさまです』ではなく、『お世話になっております』と言われ、まるで業務委託先のような形で受け答えされたという声があった。普段、顔を合わせていないため、会社の一員として認められていないと感じ、モチベーションが下がったという例もある。また、会議では同じ情報を共有しているが、社内の一般的なコミュニケーションや、誰が何の業務を担当しているのかが分からないなど、“目に見えない空気のような情報”はテレワークでは得られず、会議のたびに会社が大きく変わっていることを感じるといった声も出ている」(尾崎氏)

 この状況に対して、社内のブログや掲示板など、社員の状況をお互いに知る手段が必要ではないかと尾崎氏は提案。こうした施策も、企業がテレワークを円滑に活用するためのノウハウの1つになりそうだ。

テレワークが生む自治体とってのメリットとは

 では、自治体にとっては、テレワークはどんな意義を持つのだろうか。

Photo 千葉県流山市長の井崎義治氏

 千葉県流山市長の井崎義治氏は「流山市は、過去5年間に渡り、人口増加率が千葉県内で1位となっている。これは、約10年前から『母になるなら流山市』というキャンペーンを行ってきた成果でもある」とし、同市がベッドタウンとして発展していることを示しながら、「今後は、出産や子育て環境の充実だけでなく、出産や子育てをしながら働ける環境を作らなくてはならない。流山市は、ベッドタウンであり、雇用が少ない街であるが、主体的に新たなビジネスを行う企業を支援する一方で、テレワークで勤務する人の数をさらに1桁、2桁と増やしていきたい」と意気込む。

 自治体にとっては、地域を活性化するために、テレワークの活用が重要な切り札になるというわけだ。


 ウーマン テレワーク 体験プログラムをきっかけに、女性、企業、自治体に対して、働き方を変革するきっかけが生まれようとしているのは確かだ。

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