100年前のレシピがクラウドでよみがえる――「あずきバー」井村屋の働き方改革創業120年、老舗企業のBox活用(3/3 ページ)

» 2018年06月15日 08時00分 公開
[高木理紗ITmedia]
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Box導入で実現した各拠点での「働き方改革」

 現在、井村屋グループでは、こうした機能の他にも、Boxの各アプリケーションを使った業務効率化を進めている。

 例えば、会議中に「Box Notes」で議事録やメモを作成し、動画やURLなどを張り付けて共有するのもその1つだ。複雑な機械が稼働する製造現場では、「Box Capture」を活用。各機械に貼ったQRコードをスマートフォンでスキャンすれば、誰でもその場で動画マニュアルを閲覧できる仕組みを作り上げた。また、現場のセンサーから収集した室温のデータをBoxに集約することで、品質の分析にも役立てている。

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 井村屋のBox活用は、社外とのやりとりにまで及ぶ。例えば、食品のパッケージデザインを印刷会社と話し合う際や、外部のベンダーに問い合わせを行う際、Boxで書類や画像を共有することで、迅速なやりとりができるようになったという。

 このほかにも、120年の間に蓄積したレシピや技術的なノウハウを、Boxでいつでも、どこからでも社員が閲覧できるようにする取り組みが始まっている。こうしたノウハウは、かつてマイクロフィルムに保存されていたが、いったん専用の閲覧機器が壊れてしまってからは、忘れ去られていたという。こうしたデータをPDF化し、Boxに共有することで、「先人の知恵をこれからの商品開発に生かしていきたい」と、岡田氏は語る。

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井村屋グループが進めるBox活用の展望と、今後の課題

 井村屋グループでは今後、Boxを活用した働き方改革をさらに進めていくという。「例えば、社内の基幹システムとの連携や、同じくBoxを導入している外部のパートナー企業と連携した業務の効率化、製造現場のIoTセンサーで集めた情報の活用、複合機を使ったFaxのペーパーレス化をさらに進めたい」と、岡田氏は話す。

 今後Boxを使う際の改善点について、岡田氏は「挙動のスムーズさなどの面で、BoxとIE(Internet Explorer)の相性がさらに良くなるといい」と話す。

 同社は2018年4月から、社員によるインターネットを使ったテレワークを本格的に開始。Boxを通じて、社員がいつでも、どこからでも必要な業務をこなせる環境づくりを進めるとしている。

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