1時間6.5ドルでAIを開発できる時代へ――TPUをクラウドで提供したGoogleの真意画像認識や音声認識にすぐ使える「リファレンスモデル」も公開(2/2 ページ)

» 2018年07月11日 08時00分 公開
[高木理紗ITmedia]
前のページへ 1|2       

TPUがクラウドで使えるメリットとは

 「Cloud TPU」の登場により、企業や一般のユーザーを問わず、1時間当たり6.5米ドルの利用料を支払えば、GCP経由でTPU v2を利用できるようになった。

 「(プログラミング言語である)Pythonが使えれば、TensorFlowを通じてCloud TPUを使える(注)。Cloud TPUが普及すれば、これまで企業が膨大なコストをかけて作ってきたような最先端のAIを、誰もが初期投資ゼロで開発できるようになるだろう」(佐藤氏)

注:公式Webサイトによれば、Googleは、現在台湾(asia-east1-c)、米国のアイオワ州(us-central1-b,c,f)、欧州のオランダ(europe-west4-a)の3つのリージョンで公開している。

 また、Cloud TPUユーザーには、画像認識や翻訳、音声認識などの分野向けに「リファレンスモデル」がオープンソースで公開されている。これらは既に開発済みのモデルで、ユーザー側はこうしたモデルを使えば、自分たちで最初から開発しなくても高い精度で分析や学習を実行できる。

photo

 Googleは今後、TPUの機能をますます拡充させていくとしている。同社は、大規模な処理が必要な用途に合わせて、TPUを複数接続したスーパーコンピュータ「TPU Pods」を既に開発していて、2018年内には、TPU v2を使ったTPU PodsをGCP上で公開するとしている。

 ITmedia エンタープライズでは、これまでTensorFlowを使って業務を自動化したクリーニング店農家など、ユニークな事例を取り上げてきた。今後、クラウドを通じてますます機械学習が身近になれば、ビジネスの大小を問わず、より多様な変革が期待できるだろう。そうした意味でも、TPU Cloudの今後や事例への注目は必至だ。

(追記のうえ訂正)公開当初、「Cloud TPU」について、「2018年2月からβ版を公開」としていましたが、実際には2018年6月27日に本番のサービスが公開されていたため、訂正いたしました。(出典:Cloud TPU Release Notes



前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ