データ復旧企業の「ひとり情シス」、ほぼ半年で基幹システムを刷新するの巻【特集】Transborder 〜デジタル変革の旗手たち〜(3/4 ページ)

» 2018年07月23日 08時45分 公開
[池田憲弘ITmedia]

Salesforce導入で、問い合わせ件数が半減

 新たなシステムに慣れることができず、「昔の方が良かった」という声が出てくるのは、システム刷新においてはよくある話だ。同社の場合、リリースの時期が繁忙期と重なって十分なテストが行えなかったこと、そして、データ入力を忘れるリスクを排除するため、システムへのデータ入力に不備があると、業務が進まない仕様にしたことで、業務が滞るようになってしまったことが主な原因だという。

 「例えば、成約絡みでお客さまとの齟齬(そご)が起きないよう、お客さまにメールを送って承認を得られないと成約できないようにするなど、極力トラブルが起こらないような仕様にしました。今までシステムによる仕組みが存在しなかったところをシステム化し、厳しいルールを作った途端に、現場から反発が出てしまいました」(趙さん)

 システム自体のエラーもあったため、その後は開発会社とともに修正しながら、使い方の説明に回る日々。一時はシステム全体を作り直す話も出たが、新たに入社した取締役がこのシステムを評価したことで、システムを使い込んでから判断しようという方針に切り替わった。

 その後はSalesforceを軸にした業務フローが定着し、リアルタイムでの業績把握や業務効率化など、さまざまな効果が出てきた。例えば、これまで電話とメールで伝えていたデータ復旧状況の進捗を、Salesforce内のデータを一部開示する形で、ユーザー自身が確認できるWebサイトを構築。その結果、案件当たりの問い合わせ数が1.54件から0.75件へと半減した。

 Salesforceと連携できるよう、グループウェアもテラスカイの「mitoco」に刷新。ツール利用回数の可視化などを行い、ワークフローの整理も行った。使われていないワークフローを廃止したり、別のワークフローと統合したりするなどして、57個あったワークフローは31個にまで減ったそうだ。

photo グループウェア「mitoco」のワークフロー画面

 「決済までの時間についても相当短くなりました。これまでは大体平均で24時間以上かかっていたんですが、今は短いものだと30分程度にまでなっていますし、平均でも15時間程度になりました」(趙さん)

 今も勤怠管理など、その他のシステムもSalesforceに全て集約していく方向で開発を続けており、2017年の6月には全社員にスマートフォンを配るなど、働き方の改革も進めている。「将来的には、自宅からでも仕事ができる体制を整えたい」とのことだ。

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