ガートナーのハイプサイクルに見る、技術トレンドの栄枯盛衰――VRはどこへ?Mostly Harmless(2/2 ページ)

» 2018年09月03日 07時00分 公開
[大越章司ITmedia]
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相変わらず強いディープラーニング

 ハイプサイクルをると、「ディープニューラルネットワーク(ディープラーニング)」は、2017年に引き続き「過度な期待のピーク期」にあります。

 なお、2017年は「機械学習(マシンラーニング)」と「ディープラーニング」が別々にピーク期に挙げられていましたが、2018年は1つにまとめられたようです。ちょっと調べてみたら、2015年には「機械学習」、2016年には「人工知能」がピーク期にあります。このへんは同じものと考えてよさそうですので、もう4年もピーク期にいることになります。

 これだけ長くピーク期にい続けるのは、クラウドコンピューティング以来のことかもしれません。技術としてのインパクトがそれだけ強力で広範囲だということでしょう。

 しかも、2014年には「自然言語による質疑応答システム」、2013年は「自然言語質疑応答」と、かなりそれらしきものがピーク期にあります。これらも広義にはAIといえますから、そうすると6年以上ということになります。

ARは変わらず「幻滅期」、VRはどこへ?

 AIがいつからハイプサイクルに現れたのかを調べているときに、ちょっと面白い発見だったのが、「拡張現実(AR)」は、2013年のハイプサイクルですでに「幻滅期」の真ん中あたりにあったことです。

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 その後、2014年、2015年と微妙に上下しながら推移し、2016年にいったん消えた後で、2017年に幻滅期のくぼ地に現れました。2018年も同じところにあります。

 さらに面白いのが「複合現実(VR)」で、2013年に「仮想世界」として幻滅期のくぼ地にあり、その後じりじりと右へ移動して2016年にいったん消えて、2017年の「啓蒙活動期」に再度現れましたが、2018年にはまた、いなくなっています。

 冒頭に書いたように、VRはMR/ARに吸収され(MR/ARも、間もなく1つになりそうな気もしますが)、具体的なアプリケーションを構成する要素技術という位置付けになってきたのでしょう。2018年はそれがバイオハッキングだったということで、2019年もこの流れが続くのか、新しい活用法が見えてくるのか、楽しみなところです。

著者プロフィール:大越章司

外資系ソフトウェア/ハードウェアベンダーでマーケティングを経験。現在はIT企業向けのマーケティングコンサルタント。詳しいプロフィールはこちら


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