感性AIでは、「キラキラ」「わくわく」「ガーン」など、私たちがモノやコトから受ける印象や感情を表すときに使う擬音語や擬態語――いわゆる「オノマトペ」を分析し、言葉を使った人間の感覚(感性)を数字で定量化する坂本教授の研究を、主力のサービスとして活用。潜在的な顧客ニーズを可視化することで、企業の製品開発やブランディング、マーケティングといった場面をサポートする。
最近では「ネーミング印象評価サービス」など、新製品のネーミングやパッケージに関するコンサルティングをはじめ、商品の開発段階で素材ごとに“感性的な”価値をどう可視化するかといった相談も受けているという。
「今後は、京王グループの内外で活用の場を広げていきたいですね。感性情報活用のプラットフォーマーとしてのポジションを築いていくとともに、そのノウハウをグループ各社にも活用してもらうことで、成長につなげたいです。とはいえ、何でもかんでもAIやIoTを導入するのは正解ではないと思います。逆に『どの仕事を人がやるべきか』ということを考えながらAIやIoTの強みを生かしていくことで、社内の業務を効率化する一方、新たな仕事も生んでいけるのではないでしょうか」(虻川さん)
偶然がきっかけで京王電鉄に入社し、さまざまな業務変革や新事業を手掛けていった虻川さん。最初は数年のつもりが、結果的に20年以上京王グループで活躍し続けることになった。常に新たな課題に挑戦し続けているようにも見えるが、仕事のモチベーションはどこにあるのか。
「スピード感を持って、現場でいろいろな人のニーズに貢献し、仕事や生活をどんどん良くしていける。そしてそれがお金にもつながっていく。シンプルに目の前の人に喜んでもらってお金まで稼げるということが、楽しいのかもしれませんね」(虻川さん)
ITを使って、誰かの課題を解決する。あるいは、新しい価値を生み、誰かに喜んでもらうことが収入につながる――京王グループを変革し続ける虻川さんのモチベーションは、学生時代に描いていた起業の精神とつながっているのかもしれない。進んだ道のりは当初考えていたものとは異なっていたが、結果的に社長を務めるまでになった虻川さんは、これからどんなビジネスを生み出すのだろうか。
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