オラクルがビルドして提供するOpenJDK以外にも、JavaのJDKには複数の選択肢があります。今後も無償でJava 11のLTSに対応した3年間のバグフィックスやセキュリティパッチを入手したいと考える利用者にとって、最も有力なのは「AdoptOpenJDK」を利用することでしょう。
AdoptOpenJDKはコミュニティーによってビルドされ、無料で配布されているJDKのディストリビューションです。コミュニティーの主要なスポンサーには、IBMやマイクロソフトといった企業も名を連ねています。
AdoptOpenJDKの現時点でのサポートポリシーによると、Java 8は少なくとも2023年9月までサポートを提供し、Java 11はリリースから少なくとも4年間、2022年9月までサポートを提供するとしています。Java 8もJava 11も、オラクルより長いサポート期間を設定することで、積極的なユーザーの取り込みを図っているようです。
Red Hat Enterprise LinuxにバンドルされているOpenJDKは、Red Hatによってサポートされます。Red Hatが公開している「OpenJDK ライフサイクルおよびサポートポリシー」では、Red HatはOpenJDK 8のサポートを2020年10月まで行う(英語版のページではJava 8は2023年6月まで)とされていますし、OpenJDK 11についても独自のサポート期間を設定しています。
その他、IBMもJDKを提供して独自のサポート期間を設けていますし、独自にJDKをビルドし、サポートを提供するAzul Systemsのようなベンダーも存在します。
オラクルも新しいJavaランタイムであるGraalをオープンソースで公開していますし、IBMがオープンソース化したEclipse OpenJ9もあります。
あるいはJavaに対応したPaaS型クラウドサービスを利用することで、今後のJava環境のアップデートはクラウドに任せてしまうという選択肢もあるかもしれません。
Javaプログラマーにとって、Java 11以後の世界でどのようなJava環境を構築するのかを検討する際にはOracle JDKとOpen JDK以外にも、視野を広く持って検討することになるのでしょう。そしてそれは、もしかしたら、Javaのエコシステムにとって、新しい変化を引き起こしていくことになるのではないでしょうか。
この記事は、新野淳一氏のブログ「Publickey」の記事「Java 11正式版がリリース、本バージョンからOracle JDKのサポートは有償に。OpenJDKで無償の長期サポート提供は現時点で期待薄」を許可を得た上で転載、編集しています。
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