きっかけは“阿波踊り” 残業に苦しんだ営業女子が、全社の「働き方改革担当」になるまで【特集】Transborder 〜デジタル変革の旗手たち〜(1/4 ページ)

趣味の「阿波踊り」の練習に行こうとしたことがきっかけで、新人社員が社内に働き方改革を起こしたという企業がある。一体何が起こったのか。

» 2019年02月12日 07時00分 公開
[高木理紗ITmedia]

 平日の夕方に習い事や予定を入れたくても、その時間までに仕事が終わるか分からず、結局諦めてしまった――そんな経験はないだろうか。特に、異動や転職などで、慣れない仕事に取り組むことになった場合はなおさらだ。

 そんな中、どうしても参加したい習い事の時間が平日の夕方だったことがきっかけで、それまで残業漬けだった自分の仕事を見直したばかりか、社内に「働き方改革」を起こした社員がいるという。一体何が起こったのか。

「変えるしかない」――残業漬けの毎日を抜け出したきっかけ

photo ドリーム・アーツのカスタマーサクセス統括本部に所属する齋藤瑛里菜さん

 企業向けのコミュニケーションツールを扱うドリーム・アーツに勤める齋藤瑛里菜さんは、現在同社のカスタマーサクセス統括本部に所属し、クラウドサービスの販売推進に取り組んでいる。2016年に営業として入社した際は、営業の経験は全くなかったそうだ。

 当時、同社では、各サービスの売り方といったノウハウや見積書のテンプレートなどは、人によってバラバラだったという。そんな状況に未経験で飛び込んだ齋藤さんは、「そもそも売り方が分からない」「必要な情報がどこにあるかが分からない」といった壁にぶつかる。1年目は定型業務が多かったというが、必要な情報を毎回探しながら、任される作業を必死にこなすうちに、気が付けば残業が当たり前の生活になっていた。

 「当時は、社内規定である『1カ月の残業目安は40時間以内』という枠を毎回超える常習犯でした」(齋藤さん)

 入社2年目でやっと仕事に慣れ始め、「これからは自分の時間を持ち、好きなことをやりたい」と考えていた矢先、偶然、徳島県の伝統芸能「阿波踊り」の動画を見て「私がやりたいのは、これだ!」とひらめいたという。やるのなら本格的に習おうと、都内のある“連(阿波踊りの団体の単位)”に参加を決めたものの、練習時間は週1回、平日の午後7時から。午後8時以降に退社するそれまでの生活では、とうてい参加は難しかった。

photo 一見軽やかにも見える阿波踊り。齋藤さんいわく「実際に動きを習得するのはとても大変で、時間がかかる」そうだ(写真はイメージで、記事の内容や実際の団体、地名とは関係ありません)
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