マーケティング未経験からの出発、東京ガスはどうやってデータドリブン文化を実現したのか

都市ガスの小売全面自由化によりビジネスモデルをパラダイムシフトしてきた東京ガス。しかし、対応するまでには大きな困難があった。

» 2020年04月09日 07時00分 公開
[阿久津良和ITmedia]

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 2016年4月に電力、2017年4月に都市ガスの小売全面自由化が始まり、135年の歴史を持つ東京ガスは苦境にさらされていた。エネルギー自由化や低炭素社会の旗印、デジタル化など同社を取り巻く事業環境は激変してきた。「ガス事業は、規制産業だったためマーケティングをしてこなかった」と東京ガスの中山 香奈子氏(デジタルイノベーション戦略部 データアナリティクスグループ グループマネージャー)は話す。従来のビジネスモデルからパラダイムシフトすることが喫緊の課題だった同社はどのように対応してきたのだろうか。

 本稿では2020年1月24日に開催されたNTT DATA Innovation Conference 2020のセッション「DX推進のカギはAI/アナリティクスの民主化 データドリブンの文化をどう醸成するか?」の概要をお届けする。

データ分析しようにもシステムがサイロ化

東京ガスの中山香奈子氏

 渋沢栄一氏らが創業した東京ガスは、天然ガスをはじめとする原料の調達、輸送、製造、供給、販売に加えソリューションの提供など日本のエネルギー事情を担ってきた。ガス事業法の下、規制産業に数えられるガス事業だが、1995年から段階を追って自由化が進み、2017年以降は都市ガス会社以外の企業もガス供給を可能とする全面自由化が施行された。当然ながら市場競争は進展し、既存のガス事業社は新たなビジネスモデルの構築や新規事業創出を目指さなければならなくなった。

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