病院で活躍する「屋内版GPS」

» 2005年01月19日 10時02分 公開
[IDG Japan]
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 家を出ようとしたときに車のキーが見つからない、というのなら不便な程度で済むが、病院内で重要な機器をどこかに置き忘れたら、悲劇につながる可能性もある。ペンシルバニア大学病院(HUP)は、米Radianseが開発した屋内測位システム(IPS)により、置き忘れた機器を探すのに無駄な時間をかけずに済む解決法が見つかったと考えている病院の1つだ。

 HUPのPeriOperative Services部門は最近、医療向けのIPSを導入した。これはGPSの屋内版だとRadianseは説明している。医療機器と干渉を起こさない、電池で動くアクティブなRFIDタグを病院に機器に取り付け、既存のLANに接続した受信機がタグを検出し、測位データをロケーションソフトに送信する。病院のLANに接続したPCからアクセスできる使いやすいWebインフェースに、タグの物理的な位置がグラフィックスで表示される。

 このシステムは、現在数百の物品の追跡に使われている。特に、数が少なく高価な機器には有用だ。HUPの医師は、システムにより「ゾーン」として定義されている、31の手術室、機器の保管室、手術室の前室のどこに特定の機器があるのかが分かる。

 IPSの用途は物体の追跡だけではない。マサチューセッツ総合病院のPeriOperative部門では2年前から、患者とスタッフの流れを追跡して、業務を最適化するためにRadianseのシステムを採用している。姉妹医院のブリンガム&ウーマンズ病院では、機器を追跡する試験プログラムを心臓外科で実施している。Radianseのジョン・パンタノ氏によると、「初めの兆候から見ると、投資に対する利益は大きい。約12カ月で損益トントンになる」。

 医療機器は特殊化が進み、高額になっている。「すべての手術室にあらゆる機器を備えるのは現実的ではない」とHUPのアソシエイトエグゼクティブディレクターで、PeriOperative Servicesコーポレートディレクターのジム・マレン氏は語る。手持ちの機器を適切なときに適切な場所で患者に使うことができれば、リソースを倍にする必要はない。

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