NET&COM2005、モバイルセントレックス関連商品が多数出品

» 2005年02月02日 14時18分 公開
[吉岡綾乃,ITmedia]

 東京・有明の国際展示場(東京ビッグサイト)では、2月2〜4日にかけて、企業向けのITソリューション展「NET&COM2005」が開催中だ。会場は、無線LANやIP電話ソリューションなどを中心に展示する「ネットワークゾーン」、企業情報システムの構築・運用や、RFID関連ソリューションを展示する「システムゾーン」、障害対策や情報漏洩対策などに関連する展示を行う「セキュリティゾーン」と三つに分かれている。

 ネットワークゾーンの中心となっているのが、IP電話ソリューションだ。ドコモが推進するモバイルセントレックス「PASSAGE DUPLE」用のFOMA端末「N900iL」の登場により、無線IP電話のオフィスへの導入に注目が集まっている。会場でも、N900iLに対応しており、小規模・安価に無線IP電話を導入できる製品が目をひく。

PASSAGE DUPLEを安価に導入

 ネットワークゾーンで一番大きなブースを構えるのが日立グループだ。

 PASSAGE DUPLEは当初、NEC製のSIPサーバ、認証サーバ、アクセスポイントと、ドコモのNEC製端末であるN900iLの組み合わせで提案されていたが、SIPサーバと端末の間のプロトコルは規格化されており、他社製SIPサーバをベースにしてN900iLを組み合わせたシステムを作ることもできる。

 SIPサーバの「TM2000」(日立コミュニケーションテクノロジー)と「SIP:OFFICE」(日立インフォメーションテクノロジー)は、1月末にN900iLに正式対応。今回が対応後の初お目見えとなった。これらのSIPサーバを核に、FOMAと無線IP電話をデュアルで使いたい場合にはN900iLを、内線電話としてのみ利用する場合には「Wireless IP 5000」を端末として組み合わせる。Wireless IP 5000は無線LANブラウザこそ搭載していないが、N900iL同様に、プレゼンス機能やIM(インスタントメッセージ)を使うこともできる。2006年に登場予定というWireless IP 5000の次期バージョンでは、カラー液晶を採用、ブラウザも搭載予定だとする。

 日立電子サービスの「ネットワーククリニック」は、IP電話を導入する前に、既存のLAN環境でIP電話が使えるかどうか、IP電話を導入して音声品質が保てるかなどを事前に診断するサービスだ。最小構成で40万円程度。事前にチェックした結果を元に機材導入のコンサルティングをするほか、導入後には再度調査を行い、音声品質評価(R値、ジッタ、遅延、パケット損失など)やトラフィック分析(使用帯域、アプリケーション単位)などのレポートを提出する。IP電話導入時のほか、ネットワーク構成の変更時などにも対応。現在は有線IP電話を対象としているが、無線IP電話にも対応していきたいとする。

日立コミュニケーションテクノロジー製のSIPサーバ、TM2000。2000台までのIP電話を制御できる
無線IP電話端末のWireless IP 5000。SIPサーバが対応していれば、プレゼンスやIMといった機能も利用できるが(右)、展示会場ではオフになっていた

 アイコムブースで展示されている「SR-5200VoIP2」「AP-5100VoIP」は、IP電話機能を持った、無線LANブロードバンドルータだ。N900iLに対応しているので、フュージョン・コミュニケーションズのIP電話サービスと組み合わせることで、SIPサーバなしで小規模なモバイルセントレックス環境を構築できる(1月27日の記事参照)

 また、コンテックのIEEE 802.11a/b/g無線LANアクセスポイント「FX-DS540-APW(af)」「FX-DS540-APD(af)」も、新たにN900iLに対応した製品だ。従来製品との違いとしては、QoSをサポートし、内線・外線の通話に使えるほか、今後はインスタントメッセージ(IM)やプレゼンス機能といった、N900iLならではの機能も搭載していく予定だという。無線LANカードが1枚内蔵のFX-DS540-APD(af)は9万4000円、2枚内蔵のFX-DS540-APW(af)は13万4400円。FX-DS540-APWであれば1台で、音声通話はIEEE802.11bで、データの送受信はIEEE802.11aでといった使い分けも可能になる。

FX-DS540-APD(af)。2004年春頃出荷予定

Windows CE搭載の無線IP電話

 ネットツーコムが展示している「WiPCom」は、OSにWindows CE.Netを採用し、CFカードスロットを持つ無線IP電話。構内では無線LANを使って内線電話として利用でき、社外ではCFスロットに指したAirEDGE端末を使ってデータ通信および音声通話ができる。現在対応しているのはウィルコム製のCFデータカードのみだが、音声通話用のWindows CE.NET対応のドライバが出れば、3Gデータ通信カードも利用できるようしたいという。

 同社のSIPサーバ「Subcentrex」での動作を保証、フュージョン・コミュニケーションズサービスを利用し、050番号をサーバに割り振って利用する。SIPサーバに複数の050電話番号を割り振り、接続しているWiPComにひも付けして、直通番号のように使うこともできる。

 公衆無線LANスポットや家庭の無線LANから、インターネット経由で利用することも可能。その場合はWebブラウザからアクセスして、WEPキーを4つまで登録しておける。

 Windows CE.NET標準の機能としてメール送受信やWeb ブラウズができるが、用途に応じて、適宜必要なソフトを組み入れて提供するという。参考出展していた端末ではWindows Media Playerも動いていた。端末の単体価格は実売9万円前後、3月末から法人向けに発売を予定している。

OSにWindows CEを搭載した無線IP電話「WiPCom」。CFカードスロットにPHSカードを差して、外でも通話ができる


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