携帯電話ビジネスで重要性を増す「リコメンド」機能神尾寿の時事日想

» 2005年02月10日 10時34分 公開
[神尾寿,ITmedia]

 2月9日、KDDIがau向けゲームポータルサイト「EZ Game Street!」の発表を行った(2月9日の記事参照)。その記者会見で、筆者は2つのキーワードを重要だと感じた。今日はその1つについて取り上げたいと思う。

 1つめのキーワード、それは「リコメンド」だ。「EZ Game Street!」はグラフィカルなインタフェースで、好きなキャラクターやジャンルなど、ユーザーの目的に沿った形でゲームを探せる。さらに「オススメ」という項目で、リコメンド機能が用意されている。サービス開始当初、このリコメンド機能はKDDIが選んだ“お勧め”だが、「将来的にはユーザーの嗜好にあわせたリコメンドも可能」(KDDIコンテンツ・メディア本部長の高橋誠氏)だという。

 実は、KDDIがリコメンド機能を搭載するのはこれが初めてではない。今年1月からEZwebのコンテンツを対象とした「あなたにピッタリサイト」を運営しており、EZ MUSIC!でのリコメンドサービスも検討されている。

 筆者は、携帯電話のコンテンツビジネスにおいて、今後、リコメンド機能が重要になると考えている。急成長した携帯電話コンテンツの市場は、気軽にコンテンツを探すにはあまりにも巨大になりすぎているからだ。携帯電話の液晶サイズや操作性を考えると、カテゴリー別メニューや検索サイトでコンテンツや商品を探すのは一般ユーザーにとって荷が重いだろう。ユーザーのコンテンツ利用意欲を高く維持するには、使いやすいサーチ機能だけでなく、優秀なリコメンド機能も必要だ。

 KDDIは「携帯電話のメディア化」という次世代戦略を打ち立てており、着うたフルをはじめとするリッチコンテンツの拡販に積極的だ。その一環としてリコメンド機能の重要性に着目している。しかし、今後、携帯電話によるEコマースが発達することを考えると、ドコモやボーダフォン、そして各コンテンツプロバイダーにとっても、ユーザーごとに適切に商品を絞り込むリコメンド機能は重要になるだろう。

神尾寿

通信・ITSジャーナリスト。IT雑誌契約ライターを経て、業務委託で大手携帯電話会社のデータ通信ビジネスのコンサルティングを行う。1999年にジャーナリストとして独立。移動体通信とITSを中核に通信が関わる分野全般を、インフラからハードウェア、コンテンツ、ユーザーのニーズとカルチャーまでクロスオーバーで取材している。ジャーナリストのほか、IRICommerce and Technology社レスポンスビジネスユニットの客員研究員も努める。

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