「ユーザーから見えないところで快適さを提供したい」〜日本オープンウェーブシステムズインタビュー

» 2005年03月29日 21時44分 公開
[吉岡綾乃,ITmedia]

 3月1日に、オープンウェーブシステムズから社名変更した、日本オープンウェーブシステムズ。米Openwave Systemsの日本支社として製品のローカライズなどを中心に行ってきたが、現在はエンジニアを中心に社員の人数を増やし、日本発の製品の開発に取り組んでいるという。同社社長の森岡洋介氏に話を聞いた。

日本オープンウェーブシステムズ社長の森岡洋介氏

コミュニケーションに必要なソリューションを提供

 日本オープンウェーブシステムズとはそもそも、どのような会社なのだろう。「簡単に紹介すると“コミュニケーションに使うソフトを作っている会社”ということになります」と森岡氏は言う。

 ソフトといっても、携帯端末のアプリケーションなど、エンドユーザーに見えるところだけではない。携帯端末のアプリケーションからデータセンターに設置するサーバソフトまでをカバーする、エンドtoエンドソリューションを提供する会社である。主力製品は携帯メール用プラットフォーム「Openwave Email Mx」や「Openwave Mobile Email」、位置情報ソリューション「Openwave Location Manager」、Javaアプリや着メロ、ゲームなどのコンテンツダウンロード用ソリューション「Openwave Download Manaer」といったものになる。

オープンウェーブシステムズのロゴ。auの携帯電話でアプリケーションを起動するときなどに見たことがある人もいるだろう

 同社は2000年11月に、数人のエンジニアを中心に、少人数の社員で発足した。当初は米Openwave Systemsが開発した製品のローカライズが業務の中心だったが、最近は変わってきた、と森岡氏は話す。「パッケージをコアにしていることは変わりませんが、お客様に合わせて個々にカスタマイズをするとか、製品を作るうちに得た知識を製品に取り入れて開発に生かすなど、2004年頃からビジネスの方向性を変えてきています。日本のエンジニアが開発した製品を“日本から発信”するパターンも出てきました」(森岡氏)

迷惑メールやウイルス対策を重視

 “日本発”の例の1つが、迷惑メール対策ソリューションである「Rate base spam control」だ。トラフィック中に大量のメール送信を検知すると、自動的にスパマーを判定し、以降の送信行為を規制するソフトで、同社の携帯メールソリューション用プラグインとして動作する。

 すでに2004年12月にぷららネットワークスに採用され、ボーダフォンやau、ツーカー携帯電話向けの迷惑メール規制に利用されている(2004年12月8日の記事参照)。将来的には「メールの中身を見て、スパムメールを判定、フィルタリングする製品も予定している」(森岡氏)

 「迷惑メール対策やウィルス対策は、携帯電話向けソリューションとして非常に重要と考えている」と森岡氏。現在ウイルスチェック用のシステムも、同社の携帯メール向けシステム上で稼働中だ。

 携帯に感染するウイルスは、PCのウイルスに比べると影響力は今のところまだ小さいが、将来的には大きな被害が出ることもあり得る。例えば「ネットワークと携帯の接点、つまりゲートウェイで遮断する、という形を今は考えています。とはいえ、端末の処理能力も上がっていますし、今後は端末側でチェックするようなソリューションも必要になってくるでしょうね」と森岡氏。

 現在は携帯電話向けのネットワークソリューションを中心に扱っているが、将来的に目指しているのは、携帯でもPCでもデバイスを問わず、Webブラウザを通して、ネットワークの柔軟性を生かし、さまざまなことができる世界だという。

 「我々はインフラを提供しているベンダーなので、ユーザーの方が日常の生活のなかで、企業名に接することは少ないかもしれません。しかし社会のインフラに対して、少なからず貢献している会社だという自負を持っていますし、また、そういう会社でありたいと思っています」

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