2006年末までに「HSUPA」ソリューションを投入──Nokia

» 2005年05月11日 22時02分 公開
[後藤祥子,ITmedia]

 W-CDMAを採用している通信キャリアが、さらなる高速化手段として導入しようとしているのが「HSDPA」(High-Speed Downlink Packet Access)。3.5Gといわれるこの通信方式では下りが最大14Mbpsとなり、現在のW-CDMAが384Kbpsなのに比べて約30倍の高速化が図れる。

 NTTドコモが2006年度にHSDPAによるサービスを提供する予定であるなど、3.5Gに向けた動きは加速しつつある。

 端末とともにネットワークソリューションも手がけるNokiaで3Gネットワークシステムのマーケティングと販売を担当するカイ・サハラ氏に、3.5Gネットワークシステム開発のロードマップを聞いた。

 Nokiaの3Gネットワークシステム部門のカイ・サハラ氏。Nokiaは68ある3Gの商用ネットワークのうち30のネットワークを提供しているという

上りを高速化する「HSUPA」にも着手

 「3G化の流れは日本だけでなく、世界で現実のものとなってきた」とカイ氏。現在、世界で68の3G商用ネットワークが稼働しており、加入者は2100万人に達したと話す。2005年はさらにその流れが加速し、100のネットワークが立ち上がり、加入者は7000万契約に到達すると予測されるという。

 「今後のW-CDMAのロードマップの中で大きなトピックといえるのは、下りを高速化するHSDPAと上りを高速化するHSUPA。HSDPAのネットワークソリューションは2005年度中にリリースする」(カイ氏)。

 競合他社のソリューションと比べた場合のアドバンテージは、アップグレードが簡単な点だとカイ氏は説明。「NokiaのW-CDMAネットワークソリューションを使っている場合、ソフトウェアのダウンロードだけでアップグレードできる。新たなハードウェアを必要としないのもメリット」(同)

 次のフェーズとなる下りの高速化技術「HSUPA」にも既に着手しており、仏カンヌで開催された「3GSM World Congress 2005」(特集参照)で世界初のデモを実施。「2006年末までにHSUPAのソリューションを出す」ことを目標に開発を進めているという。「こちらもHSDPAと同様、既存のネットワークからのアップグレードはソフトウェアのダウンロードだけで済む」(同)

通信の高速化によるサービスイメージは

 通信の高速化によるメリットについてカイ氏は、2つのサービスイメージを提示した。「ビジネスユーザーは、携帯電話をPCに接続してインターネット通信する際、大きなファイルを送る際にストレスなく利用できる」(同)

 コンシューマー向けには、コンシューマー同士がP to Pでつながるようなサービスで有効に使えるだろうと話す。「ビデオを共有・交換したり、ゲームをしたりといったさまざまな用途が生まれる。その際に上りの速度が速いのはメリットになるだろう。また、通話しながらパケット通信でビデオ映像を送信できる『Video sharing』(4月28日の記事参照)でも、より質の高い動画を送れるようになる」(同)

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