「M1000」にデータベースを積む、オラクルの意図

» 2005年06月28日 23時22分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

 7月1日に発売となるNTTドコモの「M1000」には(6月20日の記事参照)、“ビジネスFOMA”という別称が付いている。「iモードの路線とは違う、ビジネスマンに使ってもらいたい端末」(ユビキタスサービス部長の徳広清志氏)だからだ。

 その象徴が、M1000でオラクルのデータベースソフト「Oracle Database Lite 10g」が動作することだろう(5月17日の記事参照)。Oracleアドバンストソリューション本部の林徹本部長は、「Oracleデータベースを携帯に載せたいと思ったのは2000年くらいから。5年経った夢が実現した」と話す。

世界初の携帯向けオラクルデータベース

 実のところ、携帯電話で動くオラクルデータベースが販売されるのはM1000が初めてだ。「EPOC時代に特殊な端末に搭載したことはあるが、携帯は初めて。全世界で初めての出荷だ」とオラクル。

 M1000のようなSymbian OS端末にデータベース製品の移植を進めている同社だが、「コンシューマ製品として流通している通常の端末では使えない。ドコモを経由して、ハードメーカーから情報を公開してもらって初めて移植できた」(オラクル)と話す。

 携帯電話でデータベースソフトを動かせれば、SFAやCRMなど営業系アプリケーションや、流通業務、フィールド系のアプリケーションが“モバイル”で活用できるようになる。さらに、Symbian OSのようなオープンプラットフォームであれば、業務専用ソフトを作り込んで追加し、データベースと連携させられる。

携帯電話にオラクルのデータベースが乗ることで可能になること。営業の現場といったモバイル環境で業務アプリケーションが簡単に利用でき、作業の進捗状況も携帯側のデータベースに簡単に入力できるようになる

 サーバ内のオラクルデータベースと、M1000内のデータベースをFOMAネットワークを使って同期(シンクロナイズ)させることも可能だ。さらに、サーバからM1000にメールを送ることで、プッシュ操作による同期も行える。

 セキュリティへも配慮されている。M1000の機能として、遠隔地からロックをかけたりデータベースアプリケーション自体を消去することが可能だ。またオラクルデータベース自体にも、「1日に1回もアクセスがなかったら」などの条件を設定してデータを自動消去させることができる。

 Webブラウザを使ってサーバのデータベースにアクセスする方法や、iアプリのようなJavaベースのデータベースアプリケーションを使う方法もあるが、「ブロードバンド環境であっても、操作の煩雑性やいざというときに使えないなどの解決策が見つからない。iアプリの場合、大量のデータが保存できない」とオラクル。

 M1000のオラクルデータベースの場合、外付けメモリでるTransFlashを利用できる。アプリケーション自体は最大4Gバイトまでのデータを利用できるが、現在はTransFlashの最大容量である512Mバイトが上限だ。

「国内では携帯に注目」とオラクル

 M1000について、ドコモは2ケタ万台の販売を目指す。オラクルも、データベースを2ケタ万台を目標としている。7月1日からオラクルのISVやSIパートナーにβ版扱いで提供を行い、正式版は秋頃に投入する。

 M1000に搭載するデータベースソフトの価格は未定だが、「Pocket PC版の1万2500円に比べて、低額で戦略的な価格が必要だと思っている」とオラクル。PDA市場が縮小するなか、モバイル向けデータベース市場として携帯に大きな期待を寄せる。「国内では携帯に注目している」(オラクル)

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