am/pmで同じお茶を買い続ける率は?──Edyを使ったCRMの秘訣ワイヤレスジャパン2005:(1/2 ページ)

» 2005年07月13日 16時51分 公開
[吉岡綾乃,ITmedia]

 ビットワレットが運営する電子マネー「Edy」を、早期から導入しているコンビニエンスストア(CVS)がam/pmだ。

 東京ビッグサイトで開催されているイベント「ワイヤレスジャパン2005」(特集参照)のユーザーセミナーでは、「お客様を囲い込まないCRMの実践〜am/pmにおける電子マネーEdyの活用〜」と題し、Edyを導入した経緯やその効果についての講演が行われた。

エーエム・ピーエム・ジャパンマーケティング本部MD戦略部の大熊義久氏

POSデータの限界

 全国に約4万店あるといわれるCVS。am/pmは1340店舗を展開している。am/pmでは重点的に都市部へ出店しており、特に東京の都心6区(千代田、中央、港、新宿、渋谷、品川)ではシェア41%を誇る。

 1000以上の店舗を持つCVSの中では最後発ということもあり、店内へのATM設置、新しいサービスの導入には積極的だった。そのうちの1つが電子マネーEdyの導入だ。

 CVSでは通常、POS(Point of Sales)を使って商品情報、購入情報を管理している。しかし商品を軸にデータをとるPOSの場合、顧客が何を買ったかは分かっても、誰に買ったかが分からないという問題点があった。

 新しいCMSの手段を導入するにあたり、大きな目標としたのは2つ。顧客と購買履歴をひも付けることと、顧客1人1人にマッチした商品提案や情報配信を行うことだった。

Edyのメリット

 顧客にどのようなツールを使ってもらうか、選択肢として、Edyのほかにも、ポイントカード、クレジットカード、携帯電話、RFIDなどの候補があった。このときam/pmが重視したのが、“生活者が常時携帯するもので、独自性と汎用性があるもの。さらに適度な多機能性があり、協業による推進が期待でき、投資額が高くないことだったという。

 多くの小売店が導入しているポイントカードの場合、使用頻度やインセンティブが低いと携帯してもらえないという弱点がある。またクレジットカードは、未成年者など、与信が低いと持てないという制限があった。

 Edyなら、誰にでも持てるし、即時に利用できる。また、入館証やIDカードといった“必携カード”との兼用が可能な上、携帯電話などへ内蔵されれば携帯性はさらに高まる。Edyを推進するANAやNTTドコモといった他の企業とも協業できる。また、現場のレジでは、非接触ICを使うことで顧客がお金の支払いにかかる時間が短くなるというメリットもある。

Edyならではの顧客管理

 Edy全体の月間の利用件数は、約930万件。このうち、am/pmでの利用が約100万件を占めている。

 am/pmでEdyを使って決済する顧客のうち、おサイフケータイが20%、ANAのマイレージカードが40%、ampmのカードが23%、その他のEdyカードが17%だという。またEdy利用者では、客当たりの利用単価が現金の場合に比べて10〜15%高いこと、Edyユーザーの平均利用回数は月5.7回というデータが出ている。

 POS単体では、いつ何がいくつ売れたかしか分からない。POSデータに、Edyによる購買履歴と顧客のIDを組み合わせることにより可能になるのが「ある製品を買った人が、次に類似商品の中で何を買ったか」の追跡だ。

3種類のお茶を例に「お茶Aを買った人が、次に無糖茶を買うときに何を買ったか」を分析した例。お茶Aを買い続ける率、ほかのお茶へ流出する率などが分かる

 お茶Aを買い続ける率、ほかのお茶へ流出する率などが分かるこのデータは、商品の仕入れに利用されている。このほか、弁当など自社ブランドの商品開発へもこのデータは活用されているという。

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