iBurstと電力線でインフラ補完――ライブドアの新構想ワイヤレスジャパン2005(1/2 ページ)

» 2005年07月15日 14時33分 公開
[杉浦正武,ITmedia]

 月額525円の公衆無線LANサービスを発表して、話題を呼んだライブドア。しかし同社の通信事業には、まだ“続き”があったようだ。

 7月15日の「ワイヤレスジャパン2005」講演では、同社上級副社長の照井知基氏が登場。Wi-Fiのサービスに加え、iBurstや電力線通信(PLC)といった技術を利用したデータ通信サービスも提供する計画を明かした。

Photo ライブドアの照井知基上級副社長

人口密集地はWi-Fi、過疎地はiBurstでカバー

 iBurstは、京セラが基地局を開発して推進している無線技術(6月3日の記事参照)。照井氏は、iBurstを半径10キロぐらいをカバーできる技術だと紹介する。

 「Wi-Fiだと、(アクセスポイントから)100メートルから150メートルぐらい離れると電波が弱くなってしまう。iBurstは、Wi-Fiより距離が飛ぶ」。このため採用を決めたという。

 ライブドアとして、人口が密集している地域ではWi-Fiのアクセスポイントを敷設、高速通信を実現していく計画。しかし過疎地などでは、iBurstでインフラを構築する考えのようだ。

 「人が少ない地域に行くとWi-Fiの基地局は非効率的。それではコストも高くなる。するとユーザーにしわ寄せがいき、月額525円という料金を実現できない」

 同氏はまた、iBurstが高速ハンドオーバーにも対応していることに言及。車や電車に乗っていても、「携帯と同じような感覚でハンドオーバーできる」と話す。既にiBurstを利用してSkypeで電話をかけるといった実験も行っており、将来の「iBurst携帯」にも含みを持たせた。

 さらに照井氏は、バックボーンインフラを提供してもらっているパワードコムと連携し、電力会社が推進している電力線通信(PLC)も採用する考えがあると話す。

 「PLCではコンセントさえあれば、通信できる。(ライブドアが提供するネットワークの)ラストワンマイルとしてPLCを獲得すると、無線サービスの可能性も広がる」。ただ、PLCをどうネットワークに融合していくかの詳細は示されなかった。

Photo

開始には乗り越えるべき課題も

 もっとも、今回示された構想を実現するには、乗り越えなければならない壁もある。そもそもiBurstは、どの帯域を使うのか総務省で方針が示されていない。ライブドアは2GHz帯で免許を取得したい考えだが、この帯域はアイピー・モバイルやウィルコムも使いたがっている激戦区だ(7月15日の記事参照)

 照井氏は「総務省にお願いしているので、正直はっきりいつかは分からない。最短で今年度中に決定するだろうか」と話す。

 もちろん、そもそも帯域を割り当てられない可能性もある。 「(アイピー・モバイル、ウィルコムと競合するので)確率でいうと3分の1」だと照井氏。

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