SunとNTTドコモが携帯電話用の新Javaプラットフォームを計画(1/2 ページ)

» 2005年07月19日 13時19分 公開
[IDG Japan]
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 NTTドコモとSun Microsystemsは、携帯電話端末用の新しいJavaプラットフォームの共同開発に取り組んでいる。開発作業は昨年に開始したが、6月末にサンフランシスコで開催されたSunのJavaOne Conferenceで初めてその事実が明らかにされた(関連記事)

 モバイルJavaプラットフォームを改良し、今日の高機能な端末およびアプリケーションに対応するのが開発の狙いだ。両社によると、新プラットフォームを業界標準として推進することも検討しているという。

 NTTドコモでマルチメディアサービスを担当する夏野剛上級副社長によると、「Star」プロジェクトと呼ばれるこの取り組みは、野心的な目標を設定している。最大の目標は、2001年に初めて商用化されたドコモのJavaプラットフォームを刷新することだという。

 「Starプロジェクトの狙いは、Javaを次世代の携帯電話に対応させることだ」と夏野氏は話す。

 英国の調査会社Ovumによると、Javaは全世界で7億台を超える端末で採用されているが、すべての端末上で同じバージョンが動作しているわけではないという。

 「Write Once, Run Anywhere」(同じプログラムがどこでも動く)というそのルーツにもかかわらず、携帯電話市場でJavaは分断されている。これは、通信事業者および端末メーカー各社が、それぞれのニーズに合わせて同技術を修正したからだ。このため、開発者は異なる端末用にJavaアプリケーション(アプレット)をカスタマイズしなければならず、余計な作業を強いられることが多いのが実状だ。

 NTTドコモのJavaプラットフォーム「DoJa」は、非常に大きな成功を収めた。これは、同社がワイヤレスインターネット技術の分野をリードしていることが大きい。しかしDoJaは、ドコモおよび同社の数少ない海外パートナー専用である。

 ほかのキャリア独自のJavaプラットフォームも存在する。例えば、Vodafone Groupの「VFX」や、China United Telecommunications(China Unicom)の「UniJa」などがある。そのほかの多くのキャリアは、「MIDP」(Mobile Information Device Profile)プラットフォームを採用している。MIDPは標準化された規格だが、それでも端末によって実装が異なることがある。

 「DoJaもMIDPのどちらにも、それぞれ長所がある。次のJavaプラットフォームでは、両方の長所を取り入れる必要がある」と夏野氏は語る。

 「しかしDoJaとMIDPを単に組み合わせるのではなくて、われわれはゼロから考えていく必要がある。両者を融合するのではなく、これらを参考にして、将来の携帯電話用のJavaプラットフォームとして何がふさわしいか考えるつもりだ」(同氏)

開発者にとっては朗報

 東京を拠点として携帯電話用のJavaプログラムの開発を手がけるクラウス・フーフェル氏によると、両方の規格の良いとこ取りをするという方針は、開発者にとって朗報かもしれないという。

 「DoJaはiモードに緊密に統合されており、ビジネスモデルとして成功している。一方、MIDPの強みは、オープンな規格であること、そして多数のメーカーおよび通信事業者から支持されていることだ」とフーフェル氏は話す。

 「DoJaのアドバンテージは、規格および準拠テストが厳格であるという点だ。これはデバイスの細分化を防ぐ。この細分化が、MIDP用ソフトウェアの開発者にとって最大の不満となっている。両者の長所を組み合わせるというのは、本当に素晴らしいアイデアだ」(フーフェル氏)

 「異なるバージョンのJavaプラットフォームが存在するというのは大きな問題だ。対象となるプラットフォーム専用のアプリケーションを作成しなければならないからだ。複数のプラットフォームをサポートするには高いコストがかかる。Javaベースのゲームの寿命が短いことを考えれば、なおさら問題だ」(同氏)

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