GSMからW-CDMAへ――台湾の通信事情Taipei Telecom 2005 W-CDMA事業者編

» 2005年07月19日 14時34分 公開
[山根康宏,ITmedia]

 7月15日から18日まで、台湾・台北で通信関係の展示会「Taipei Telecom 2005」が開催された。時期を前後してGSMの3大通信オペレーターがW-CDMAサービスを開始することから、今年の展示会はどこを見ても「3G」の文字が目立つものだった。

7月13日にW-CDMAサービスを開始したFarEasTone

 FarEasTone(遠伝電信、FET)は昨年KG Telecom(和信電訊、KGT)と合併したことで、台湾ではシェア1、2位を争うトップ事業者となった。そのため展示内容も自社サービスのみならず、端末メーカーの最新端末も展示するなど最も充実したものとなっていた。

「3G」「iモードロゴ」が目立つFETブース。ソファーに座りながらのコンテンツ体験は今年も人気

 FETは展示会開催前日の7月14日に、W-CDMAサービスを開始。FETのコンテンツ系サービスはWAP系の「PLAY」、旧KG Telecom時代からの「iモード」の2種類がある。投入されるW-CDMA/GSMデュアル端末は、WAP対応がフィンランドNokiaの「6680」、SonyEricssonの「Z800i」、韓LGの「U8180F」の3機種、iモード対応がNEC「N600i」となっている。

3G向けiモード端末、N600i。海外ではギリシャCOSMOTEについで2社目の導入
(左)N600iのiモードメニュー(右)“i-mode生活選単”からビデオ配信サービスなどを利用可能

 NTTドコモの展示も併設されており、毎回のことながら日本の最新端末は大人気だった。ただしiモードFeliCaのサービスへの反応は今ひとつで、台湾とは無関係のサービスよりも、端末そのものに注目が集まっている印象だった。

ドコモブース。端末そのものに人気が集中していた

先行するTaiwan Mobileは端末種類で勝負

 今年5月25日からW-CDMAサービスを展開中のTaiwan Mobile(台湾大可大)は、シェア上位2社のサービス開始に対抗すべく、料金無料キャンペーンの案内や投入予定の端末すべてを展示。すでに発売中のNokia 6680、SonyErisson Z800i、米Motorola「E1000」に加え、Nokia「N90」や韓Samsungの「Z300」、台湾BenQの「S80」など対応端末数の多さをアピールしていた。また他社にないサービスとして、携帯画面のバーチャルな女性と恋人気分を楽しめる「Virtual Girl」も人気を呼んでいた。

Taiwan Mobileの投入予定端末の一部。左からZ300、S80、U8180
Virtual Girlfriend。画面の中の女の子と毎日会話しながら恋人気分を味わえる。ただしサービス開始当初は英語のみ対応。中国語対応は先になるそうだ

7月27日サービスインのChunghwa Telecom

 Chunghwa Telecom(中華電信)は7月27日からW-CDMAサービスを開始予定。先行2社に顧客を奪われまいと先行試験サービスを開始しており、予約者には端末の大幅値引きやプレゼントを提供するキャンペーンが行われていた。先行発売はSonyEricsson「K600i」とMotorola「V975」。追って他社端末も追加される予定とのこと。

Chunghwa Telecom。先行予約では1円ならぬ「1台湾ドル」端末も

VIBOはW-CDMAに鞍替え

 昨年の展示会ではCDMA 2000端末を揃え、同方式で新規参入予定とアナウンスしていたVIBO Telecom(威寶電信、VIBO)は、方式をW-CDMAに改めての参入となる。サービス開始は第4四半期の予定とのこと。これで台湾の3GサービスはW-CDMA 4社、CDMA2000 1社となり、W-CDMAが主流になることになった。

 会場では試験電波を飛ばしており、ポータルサイトもほぼ本サービスと同じもので試験運用中。発売予定の端末は確定しておらず、現在市場で発売中、開発中の端末をすべて並べていた。「実際にユーザーがどの端末に興味を示すかも参考にしたい」(説明員)

 ここでも先行予約を受け付けており「電話番号を今から確定可能」とのこと。サービス開始時期が不確定にもかかわらず、多数の来訪者が予約申し込みを行っていた。

(左)VIBOは壁面にずらりと端末を展示。欧米、日韓、そして中国台湾とあっりたけのW-CDMAメーカーの端末をかきあつめて展示していた(右)サービス開始は年末予定だが、予約者は後を絶えなかった

W-CDMAのキラーコンテンツはビデオ配信

 各社の展示で目立ったのは、TV電話とビデオ配信サービスだ。3G=映像を放映するサービス、という位置付けが明確だった。

 特にTV放送と同じニュース番組や、道路交通情報などが来訪者に注目を浴びていた。また音楽配信ならば「高音質な音楽」ではなく「音楽ビデオクリップ」、天気予報ならば「文字と画像による予報」ではなく「気象予報士による動画による予報」など、各ブースのデモで置いてある端末の画面のほとんどで映像が表示されていたのが興味深かった。3Gではビデオ配信が“キラーコンテンツ”と考えられているようだ。

(左)FETのビデオコンテンツ配信のポータル画面。映画やニュース、音楽やアイドル番組などが用意されている(中)TVニュースは地上波と同じもの(右)iモードでもビデオ配信。これはフィットネス番組で女性インストラクターがエクササイズのデモを行ってくれる
Chunghwa Telecomでもビデオ体験コーナー。メインコンテンツはTVニュース
TV電話体験コーナーは各社そろってNokia「6680」でのデモ。なお、台湾ではTV電話を「映音電話」と呼ぶ
VIBOのブースはサービス開始前ということもあってか、客引きのため一番力が入っていた。左は地上波ニュースの生放送。右は歌を歌う女性をビデオカメラで撮影しながらそれをストリーミングで配信中

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