米政府、携帯電話で警戒警報発令のシステム検討

» 2005年07月30日 08時41分 公開
[IDG Japan]
IDG

 緊急警報がいずれテレビやラジオ以外でも発令されるようになるかもしれない。米政府は自然災害やテロ攻撃が想定される場合、影響を受ける地域の個人宛てにテキストメッセージで警報を送ることを検討中だ。

 米上院の災害防止・予報小委員会はこのほど開いた会合で、デジタル技術を使って米国民に公開警報を効率的に送る、国家レベルの統合的な全災害警報システム創設について話し合った。

 国家的な緊急事態や自然災害の場合、現在でも大統領が緊急警報システム(EAS)を通じて国民に呼び掛けを行うことはできる。しかしこのシステムは50年前から存在していながら、9月11日のテロ攻撃の時でさえも、国家警報がフル発令されたことはなかった。

 現在のシステムは冷戦時代に作られたもので、ラジオとテレビにしかメッセージを流すことができず、単純に時代遅れだと、上院商務・科学・運輸委員会議長のテッド・スティーブンス議員は話す。

 個人のPCや携帯端末に警報を届ける技術は存在するが、EASは基本的に州と自治体レベルで機能して、AMBERアラート、危険物に関する情報、悪天候警報といった地域関連のメッセージを発令するものだと、米連邦緊急事態管理局(FEMA)のレイノルド・フーバー氏は委員会で指摘。国家的方策として、米全土で各自治体がこれまでに多額を投じているさまざまな地域システムと技術を統合する必要がある。

 米政府はまだ選択肢を検討している段階だ。フーバー氏によれば、FEMAがテストを計画している「Geo-Targeted Alerting System」は、緊急通報ダイヤル911の逆の技術を使って焦点を絞り込んだ形で、個々の世帯や企業向けに竜巻接近といった警報を伝えるもの。インフラが設置され統合の手段が解決されれば、FEMAでは一般向けにオプトインシステムを提供するかもしれないと同氏。ユーザーは専用のWebサイトにログオンし、自分が受け取りたい警報メッセージを申し込むことができる。ただ、このシステムはまだ初期の段階にあり、ユーザーに費用を負担させるとすればどんな形になるのかもはっきりしないという。

Copyright(C) IDG Japan, Inc. All Rights Reserved.