“携帯電話も3Gになって高速化したけれど、やっぱりPCからの通信ではパケット料金が割高”
そんなイメージを持っている読者も実は多いのではないか。しかもモバイルの通信では公称値に比べ実効通信速度はさほど高速ではないという評判も聞いたことがあるかもしれない。
だがそんな常識もボーダフォンコネクトカード(VCC)の「VC701SI」とデータ通信専用料金プランの価格を見れば、認識を新たにするのではないだろうか。割高どころか、通信速度の速さと合わせて考えると、むしろ低価格という結論も導き出せる。
携帯電話からのデータ通信に関しては、パケット料金の定額制が根付いている昨今だが、PCを用いたVCCの通信時には定額料金プランは設定されていない。その代わりに用意されているのが、パケット料金のパッケージプランである。
ボーダフォンの場合、VCC向け料金プランがデータバリューパックの名称で提供されている。レギュラーとスーパーの2種類のプランがあり、レギュラーの月額基本使用料は6090円、スーパーは1万1130円。前者は8400円分、後者は3万1500円分の無料通話分を含んでいた。また無料通信分を超えるパケットの料金も後者のほうがお得になっている。
しかしこれは7月までの話。8月1日からはデータバリューパック スーパーが月額基本使用料をそのままに4万4100円まで無料通信可能になったほか、新たにデータバリューパック ミドルが追加された(7月11日の記事参照)。データバリューパック ミドルでは2万3625円の無料通信分を8400円の月額基本使用料に含んでいる。年間割引適用時には7140円、データバリューパックに用意されている2年割引まで適用すると6300円となり、PHSパケット通信とも比較できる料金となる。
プラン名 | データバリューパック スーパー |
データバリューパック ミドル |
データバリューパック レギュラー |
---|---|---|---|
月額基本使用料 | 1万1130円 | 8400円 | 6090円 |
2年割引(データバリューパック用) | 8347.5円 | 6300円 | 4567.5円 |
無料通信分 | 約427.2Mバイト分 | 約183.1Mバイト分 | 約39Mバイト分 |
Web閲覧/日 | 約97ページ | 約41ページ | 約8ページ |
メール/日 | 約291通 | 約125通 | 約26通 |
パケット通信料単価 | 0.0126円 | 0.01575円 | 0.02625円 |
しかも、VCC向け料金プランにはインターネットへの接続料金も含まれており、別途、インターネットサービスプロバイダとの契約を結ぶ必要もない正味の価格というところもポイントだろう。
ここで常に話題になるのが、果たしてどの程度のパケットを使うのか? だろう。
大まかな経験則からいえば、週に3日程度は外出先からのメールチェックや返信を行うことがあるというユーザーなら、データバリューパック レギュラーでも間に合うことが多い。しかし、ちょっとWebでの調べ物をし始めると、画像表示を行わないなど工夫しても無料通信分に相当する約39Mバイト分を超えないか心配になるはずだ。特に節約しようとしなければ、比較的ライトな使い方でも60Mバイト分くらいには達してしまう。
E2Eサービス統括部ビジネスサービス部課長代理の春名孝昭氏 |
一方、全国を転々としながら営業を続けなければならないといった職種の場合、あらゆる社内のアプリケーションに出先からアクセスし、必要な資料や最新のマーケットデータなどをダウンロードするといった機会も増える。とはいえ、データバリューパック スーパーの無料通信分に相当する約427.2Mバイト分があれば、非常に心強いに違いない。
データバリューパック スーパーの無料通信分は、パケット料金のことを気にせずにWebに頻繁にアクセスしてもさほど気にならない量だ。大量通信が必要な現場では、特にコストパフォーマンスの良いプランになっている。とはいえ、仕事のほとんどを外出先で行わなければならないという職種は限られている。
これまでのVCC向け料金プランに加え、ユーザーニーズに応えたデータバリューパック ミドルが追加されたことで、用途に合わせて適切なプランをさらに選びやすくなった。データバリューパック ミドルの約183.1Mバイト分という無料通信分は、メール+Webアクセスを気にせずに使って十分に足りる量である。
VCC向け料金プランは、携帯電話という枠の中で見て最安値というだけでなく、PHSパケットと比較した上でも十分な価格競争力がある。特に低利用で済む用途であれば、高速な分だけメリットが大きい。
コスト比較というと、初期導入費用と月額料金しか比較しない場合が多いが、通信している時間のコストも考慮しなければ本当のコストは見えてこない。速度が遅く、通信が不安定でデータが流れにくいネットワークでは、いざメールを受信しようとしても、ユーザーの待ち時間が長く作業のロスも大きい。
そう。VCCは安価な価格設定というだけでなく、パフォーマンスにも優れているのだ。
VCCはスペック上、下り最大384Kbps(※)というデータ通信速度を実現することになっているが、実際には電波の利用状況などにより速度は常に変動している。電波状況が悪かったり、あるいは網内のトラフィックが激しいとインターネットへの実効速度は低下し、100Kbps程度しか出ないという場合もある。スペック値よりも実効速度で考えなければ、導入後に失敗だと感じるはずだ。
しかし実際にVCCのデータ通信サービスを利用してみたところ、さほどストレスなくWebのブラウジングまで行えた。試しに速度テストを行ってみると、下り速度は200Kbps前後をコンスタントに示す。これならばビジネスに必要な情報へとアクセスし、イントラネットのアプリケーションを使いつつ、電子メールをフルに活用しても、さほどストレスを感じずに済む。
なにより“レスポンシブ”。つまり、とても機敏にデータが流れてくれる。この感覚を一度味わうと、モバイルコンピューティングにおいてVCCから離れられなくなるかもしれない。
ライバルにはより高速な下り通信速度を実現しているものもある。純粋な速度競争であればVCCもかなわない。しかし料金は圧倒的にVCCのほうが安価だ。もちろん、どんな場合でも高速なほうが良いという考え方もあるが、ビジネスアプリケーションとメールを中心にWebアクセスを行うという使い方であれば十分な速度である。
またPHSパケット通信の場合、実効速度が低い場合が多く、使い放題でありながら、実際には時間を相当費やさなければ、情報を取り出せないというジレンマがある。VCC向け料金プランとパフォーマンスは、実にビジネスの現場に適した、かゆいところに手の届く現実的な設定になっているのである。
だが“かゆいところに手の届く”のは、実は料金プランや速度といったネットワークの基礎部分に関わるところだけではない。VCC自身が、商品として非常にによくできている。
例えばバンドルされているソフトウェア。VCCはWindows標準モデムとして動作するため、特殊なドライバをインストールせず、すぐに利用することが可能だ。加えて専用ユーティリティをインストールすれば、何の設定を行うこともなく、ボタンをクリックするだけですぐにインターネットにつながる。
またパッケージには小型の外部アンテナが付属している。このアンテナを接続すれば「あと少しで電波が入りそう」というギリギリの状況で、安定して電波を捕まえられる。外部アンテナというとかさばる印象を持つかもしれないが、実物はとてもコンパクト。常に鞄の中に入れて携行しておけば、必ず役に立つ場面があるだろう。
メジャーアカウント営業部の天崎純子主任 |
ボーダフォンによると、8月からの料金改定は、実際の法人顧客の利用状況や要望を集めた上で、再度コストを検討し直して設定したものだという。
たとえばデータバリューパック スーパーの無料通信分4万4100円という数字は、常に全国を飛び回る製薬会社のMR職でも、そのほとんどのユーザーが無料通信分で収まるようにと設定されたものだ。特殊なケースを除けば、ほぼすべての顧客がこの料金プラン内でカバー可能になる。
実際のボーダフォン法人営業部隊からは、「公衆無線LANアクセスと比較される事例も多い」との声もあった。しかし、どんなに些細な空き時間、どんな場所でも通信できるのは、携帯電話ネットワークの大きなメリット。公衆無線LANのアクセスポイントが増えたとはいっても、設置されている場所に関する知識などがどうしても必要になり、場所の移動なども伴う。
「無線LANも視野には入れているが、実際には携帯電話網を利用するユーザーが多いのは、やはり自由度が高いためだろう。サービスエリア、速度、料金のすべてがバランスよく組み合わされているのがVCCの良さ」とボーダフォンは言う。
メジャーアカウント営業部の神谷沙里氏 |
また、既存顧客の利用パターンを見ると、外出する機会が多い営業職や出張サポートなどの技術支援職のユーザーは、毎月120M〜180Mバイト程度の消費であることが多いという結果が出ている。「データバリューパック ミドルは、そうした一般的なビジネスユースでのニーズを満たすために作ったプラン」と、ユーザー指向で作られているサービスであることも強調する。
このようにユーザーからの要望に応えてカスタマイズされてきた新しいボーダフォンのデータ通信専用サービス。9月にはさらに世界19の国と地域(2005年8月23日現在)を対象とした、3Gデータカードとして日本初(2005年7月26日現在ボーダフォン調べ)となる国際ローミングサービスも始まる(7月26日の記事参照)。
新しくVCCを購入する場合はそのまま海外でも利用できる。また以前から持っているユーザーはファームウェアをバージョンアップし、ローミング設定ツールを使うことで海外でも利用できるようになる。ただし、国際ローミングへの申し込み(無料)が必要だ。
ボーダフォンでは既存のVCCユーザーにVC701SIのファームウェアバージョンアップ用CD-ROMを無償配布。同CD-ROMにはローミング設定ツールも収録され、ローミング接続を行う場所(国や地域)を選択し、接続ボタンを押すだけでモバイルインターネットアクセスを実現する。
データ通信でも国際ローミングをというニーズは従来からあったが、なかなか実現は難しかった。しかしそれを実践できる行動力、それに国際ローミングに強いグローバル企業という点が、今のボーダフォンの姿を正確に照らし出している。
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