携帯電話ウイルス、スカンジナビアの小企業を襲う

» 2005年09月01日 16時32分 公開
[IDG Japan]
IDG

 最近、携帯電話ウイルスがスカンジナビアの小企業を襲い、携帯から携帯に広がったとフィンランドのセキュリティベンダーF-Secureが伝えている。

 F-Secureがこれまで見た中で、モバイルウイルスが従業員の携帯電話に感染し、企業に深刻に広がったのはこれが初めてだと同社のウイルス対策研究者エロ・カレラ氏。ウイルスの拡散は約1日続き、数十人の従業員がウイルスを受け取り、そのうち約20人が携帯電話上でウイルスを開いて感染を広めたとF-Secureのブログには書かれている。同社は感染被害を受けた会社や、その所在地を明かさなかった。

 ウイルスは携帯電話でも一般的になりつつあるが、ほとんどの人はそれを知らないため、ウイルス拡散に荷担してしまう可能性があるとカレラ氏は指摘する。今回のウイルス「Commwarrior.B」はMMS(マルチメディアメッセージングサービス)の添付ファイルとして、あるいはBluetooth経由で届けられる。MMSの場合、ユーザーは添付ファイルを開くかどうか聞かれる。Bluetoothの場合は、ファイルを受信するかどうかを聞かれ、受信後にファイルを実行するかどうかを聞かれる。モバイルウイルスはたいてい、ゲームやウイルス対策ユーティリティなど魅力的なプログラムを装う。

 「人々はおそらく、当然のようにジョークプログラムだと思うだろう。ウイルスはモバイルの世界ではそれほど一般的ではないからだ。彼らはPC世界のようにウイルス問題が存在することに気づいていない」(同氏)

 Commwarrior.Bは携帯電話に感染すると、すぐに近くのBluetooth携帯をスキャンして自身を送信するか、携帯電話のアドレス帳に載っている番号にMMSを送ることで感染を広げようとする。携帯電話にダメージを与えることはないという。スカンジナビアの企業では、従業員が問題に気づき、送られてきた添付ファイルを開くのをやめたことで感染が止まったとカレラ氏。

 このウイルスは感染を広げるだけだが、モバイルウイルスが被害を与えることもある。ほかのケースでは、モバイルウイルスが携帯電話のアイコンを破壊したり、ユーザーが特定のアプリケーションを起動するのを妨害したことがあると同氏は説明する。さらに、電子メールワームと同様に、受信者を騙すために正規のMMSの件名を盗むモバイルウイルスを書くのはたぶん簡単だろうと同氏は付け加えた。

 同氏は、携帯電話ウイルスはPCウイルスほど発展してはいないが、これからもっと悪質になると話す。

 「おそらく、人々が互いに信頼し合っているコミュニティーで、今後このような事件がもっと起きるだろう」(同氏)

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