Nokia、モバイルエンタープライズの主役はスマートフォン Interview: (1/2 ページ)

» 2005年09月12日 20時01分 公開
[末岡洋子,ITmedia]

 Nokiaが法人分野の強化に乗り出して2年。ここにきて、やっと離陸し始めたという。これまでモバイルソリューション投資に後ろ向きだった同社だが、今年に入り、スマートフォンを利用したSFA (sales force automation)などパイロット事業が次々と始まっている。エンタープライズ事業部立ち上げ以来、赤字が続いているが、黒字転換も近いと見る。

 同社エンタープライズ・ソリューションズ担当コミュニケーションズマネージャのペッカ・イソソンピ氏に、Nokiaのモバイルエンタープライズへの取り組みについて話を聞いた。

ノキアエンタープライズ・ソリューションズ担当コミュニケーションズマネージャのペッカ・イソソンピ氏

――エンタープライズ事業部の現状を教えてください。

イソソンピ氏:2年かかってやっと、ITおよび企業が何を求めているのか、どんな懸念や不安を持っているのかなどの理解が深まったところです。現在、企業にアプローチする上で事例を提案し、何をモバイル化するのか、それによりどんなメリットが得られるのかを明示し、企業にモバイルソリューション導入の必要性を理解してもらうようにしています。

 IT管理者がモバイル導入に後ろ向きなのは、端末の高機能化により、電子メールを始めさまざまなことが可能になっているため、管理とセキュリティに不安を感じているからです。そこでNokiaは、これまでVPNアプライアンスなどを提供してきた経験を生かし、端末とソリューションをセットにしたプラットフォームを提供するというアプローチを取っています。

 たとえば、モバイル電子メールというと、Blackberryなど端末やシステムに依存するイメージがありますが、Nokiaのプラットフォームは反対のアプローチです。既存システムに手を加えることなく、システムと端末との間に層を挟むことで、ユーザーには端末の選択肢を、IT管理者には管理の容易さを、と両方にメリットをもたらします。セキュリティも強化できます。電子メールでは、Blackberry、VISTO、Smartner、IBM、Oracleと、セキュリティではSymantecなどと提携して実現しています。

「Nokia 9300」でBlackberryを使って電子メールを利用している例。端末側の設定も容易になった

――企業にとって、モバイルソリューションを導入するメリットは何でしょう?

イソソンピ氏:生産性向上とコスト削減が挙げられます。特にコストでは、IT運用のためのコスト削減は企業共通の課題となっていますが、ITコストのうち最大のものは電話料金です。企業は現在、固定電話と携帯電話の両方の電話料金を払っており、明らかに無駄があります。

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