台湾の携帯電話はストレート型が75%――矢野経済研究所

» 2005年11月11日 19時58分 公開
[ITmedia]

 矢野経済研究所は11月10日、台湾における携帯電話市場動向調査の結果サマリを発表した。

 10月17日から同22日にかけて、台湾の主要携帯電話メー カを対象に、移動体通信サービス、携帯電話端末、3G携帯電話開発動向について直接面接取材調査を実施したもの。調査結果をまとめた資料「2005〜2006 台湾携帯電話市場動向調査」の発刊にあたり、サマリが公開された。

大手3社に新規2社が参入、MNPで顧客獲得

 台湾では通信事業者間の競争が激化しており、その結果、通信事業者の合併が相次ぎ、現在は大手3社に加え、3G免許を得た新規参入2社を加えた5社体制へと移行している。 既存の通信事業者は、契約携帯を日本と同様のポストペイドに改める取り組みを進めているほか、ARPU向上に取り組んでいる。他方、新規参入組は2005年10月から開始されたMNP(ナンバーポータビリティ)を武器に、顧客獲得を図っているという。

 また、既存事業者が契約の整理を進めている結果、加入者数は減少傾向にあるが、中華電信は顧客基盤が強い事に加え、ナンバーポータビリティによる乗り換え意向が高く、減少は最小限に留まるものと考えられている。2006年には、加入者が2037万人と予測されているが、2000万人を切る可能性もあり、実際の普及率に相当する加入者数までの減少が予想されている。

端末の形状は、ストレート型が75%

 台湾における携帯電話端末の出荷状況は、GSMが約94パーセント、CDMA2000が約6パーセントで、2005年の台湾国内の携帯電話出荷台数は659万5000台の見込み。台湾はGSM方式主体の市場で、日本市場とは異なり、端末購入と回線契約が分離して販売されるケースがほとんど。販売されている携帯電話端末デザインの約75パーセントはストレート型のローエンド機で、日本で一般的な折りたたみ型は24パーセントとなっている。

 台湾市場ではNOKIA、MOTOROLAの2社が激しく争っており、2社で市場シェア約45パーセントを占める。2005年はMOTOROLAが158万台の出荷が見込まれ、NOKIAを13万台引き離してトップシェアとなる見通しだ。国産メーカーはBENQ、OKWAP、DBTEL、ASUSなどが参入している。BENQは自社ブランドの販売不振によりシェアを減少させているが、OKWAPは53万台でシェア3位を確保し、ASUSは市場で着々と出荷台数を伸ばしている。

 韓国メーカーでは、SAMSUNGは「BlueblackPhone SGH-D508」などのヒットで35万台の出荷が見込まれるが、ローエンドのラインアップが薄いため、上位2社には大きく引き離されている。LG電子は世界的に成功しているW-CDMA方式の3Gを導入したが、シェアは伸び悩んでいる。

 日本メーカーでは、ラインアップを薄型、ハイエンドにシフトさせたPanasonicが30万台の出荷が見込まれているほか、NEC、SHARPが大手通信事業者遠伝電信「FarEastone」向けにGSM、3G端末を納入している。

端末製造シェアはCCIが約半分を占める

 台湾での携帯電話製造動向に関しては、一部メーカーのODM受注量が劇的に増加したことと、国産ブランドの販売好調に支えられて、製造台数が増加した結果、2005年は2004年の実績である5420万台から、37.6パーセント増の7461万台に増加した。その結果、台湾の携帯電話製造における業界構造は、それまでの横一線の状況から、圧倒的シェアを持つベンダーが登場する結果となった。

 2006年に向けて、3Gの生産立ち上がりが予想されるが、台湾メーカーが本格的な量産体制に移行するのは2007年以降にずれ込む可能性がある。2006年はGSMの超低価格端末の製造台数増加が予想され、台湾での携帯電話製造台数は8900万台に増加する見通しだ。

 「2005〜2006 台湾携帯電話市場動向調査」はA4版79ページで提供され、価格は6万3000円。11月30日までは特別価格5万9850円で提供される。また調査資料と調査担当者によるプレゼンテーションを組み合わせ、11万9700円で提供する。こちらは12月22日まで、首都圏のみ。

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