「日本も世界のスタンダードへ」──Eseries日本導入に前向きなNokiaDestination Nokia

» 2005年11月17日 15時08分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

 「日本の携帯市場を、もうちょっと世界のスタンダードにもっていきたい。日本市場にも製品投入を検討しているところだ」。オーストラリアのシドニーで開催中のプライベートイベントDestination Nokiaで、ノキア ジャパン エンタープライズ・ソリューション事業部の森本昌夫氏はこう話し、Nokiaが発表したエンタープライズ向けの新シリーズ「Eseries」の日本導入に意欲を見せた。

 エンタープライズ市場に向けたEseriesは、大きく3つの特徴を持つ。1つは多彩なネットワークに対応していることだ。W-CDMA/GSM、Bluetoothはもちろん、無線LAN(IEEE802.11b/g)を搭載。VoIPも利用できるようになっている。「現在のところはユーザーが無線方式を選択しているが、端末側で自動切り替えもできるようになるかもしれない」と森本氏。

 屋外では携帯電話のネットワークを利用し、社内では構内無線LAN環境からVoIPで通話を行う──。国内ではNTTドコモが専用端末で既にサービスを提供しているが(2月7日の記事参照)、Eseriesでもその下地は整っている。全世界向けにエンタープライズのボイスソリューションを提供しているSisco SystemsやAVAYAのSIPサーバに対しては着実にサポートを進めている。また国内市場に向けてもNECや富士通などをサポートしていく意向だ。

「特にフルキーボード搭載が重要だ」

 2つ目のポイントは、QWERTYキーボードを搭載していることだ。「E61」はちょうど「BlackBerry」端末のような形状をしており、フルキーボードを搭載している。「E70」は一見普通の携帯電話だが、ダイヤルキー部分を開くとQWERTYキーボードが現れる。

ダイヤルキー部分だけを折りたたみ携帯電話のように開くとフルキーボードが現れる「E70」
海外では“BlackBerryタイプ”とも呼ばれる形状を持つ「E61」。QWERTYキーボードが露出しており両手で持ってタイプする

 NokiaはEseriesと合わせて、Eメールのプッシュ送信や企業内ネットワークとの同期機能などを提供する「Nokia Business Center」の提供を発表している。会社内のメールサーバと同期し、プッシュされてくるEメールをモバイル環境でチェック、返信できるBlackBerryが欧米ではビジネスの必須ツールになっているが、同様のサービスを提供していく方針だ。モバイル環境でもメールのチェック、返信を行う場合、フルキーボードの有無が重要になる。

 「企業とコンシューマのニーズは違う。これからは変わってくるだろう。特にキーボードが重要だ」と森本氏。日本国内でも、フルキーボードが付いたE61への関心は高い。

 3つ目の特徴は、コンシューマ向けとは異なり長いライフサイクルを持つことだ。「2年くらいのライフサイクルで、優位性を保って使えることを目指している」(森本氏)。これは導入した企業の端末サポートを容易にする狙いがある。そのためビジネス分野で必要とされるスペックを、今後を見通して搭載した。各機種とも75Mバイトのメモリを内蔵しており、E60はRS-MMC、E61とE70はminiSDカードもサポートしている。

Eseries3機種。OSにはSymbian OS/S60を搭載しており各種アプリケーションの追加が可能。QVGAを超える高解像度のディスプレイを持つ。JavaScriptにも対応したNokia独自のフルブラウザも搭載している

 また情報漏洩へ対処するため欧米でもカメラ付き携帯電話の企業内持ち込みがシビアになっており、E60とE61では敢えてカメラを搭載せず、ニーズに応えた。

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